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【これまでにない!】
クルマの空力特性を高めるフィン付きタイヤ

 タイヤの空気抵抗が少し増えても、それ以上に車体全体の空気抵抗が減れば燃費を向上できる。そのような着想から、フィン(突起)を付けたタイヤ「エアロダイナミクスタイヤ」を横浜ゴムが開発した(図1)。技術者が考えたアイデアを基に、スーパーコンピューターがフィンの位置や大きさを少しずつ変えて流体解析計算を伴う最適化を実行。その結果、車体の空気抵抗が減り、かつリフト(浮き上がり)を抑えられる設計案があることを見事に見つけた。

図1 タイヤ側面にフィンを配置したタイヤ
図1 タイヤ側面にフィンを配置したタイヤ
車体周りの空気抵抗を減らし、リフト(浮き上がり)も抑制する効果が得られる。「第44回東京モーターショー2015」に参考出展した。
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タイヤの外に発想を広げる

 タイヤメーカーはこれまで、タイヤのころがり抵抗の低減、すなわちタイヤ接地面の変形によって発生する熱エネルギーの抑制を追求してきた。それによって、クルマの燃費を向上できるからだ。その努力は現在も続いているが、限界にも近づいている。

 もともとの目的は燃費の低減なのだから、他に打つ手はないのか。そのアイデアの1つが、タイヤで空気流を意図的に作り出すことだった。設計上の視野をタイヤ単体に限らず、タイヤ周辺にまで広げることは、これまでほとんどなかった試みといえる。

 もっとも、フィンを径方向に対して斜めに設ける図1のような設計案がすぐ見つかったわけではない。最初は、タイヤの径方向にフィンを設ける方式を検討。フィンをタイヤの内側(車体側)に設けたときに、車体全体の空気抵抗を減らす効果を見込めることが分かった*1。ただし、リフトがやや増えてしまう。フィンの位置や大きさを変えて空気流のシミュレーションを実行(パラメーター・スタディー)してみても、リフトを改善する案がなかなか見つからなかった。

*1 2012年12月に東京で開催された「第26回数値流体力学シンポジウム」、2013年2月にドイツで開催された「Tire Technology Expo 2013」で発表した。

 ちょうど同時期に、同社研究本部児玉研究室研究室長の児玉勇司氏は、タイヤの外側に渦巻き状などの“おしゃれ”性を目的としたフィンを設ける検討をしていた。その性能を評価したデータの中に、リフトが変化していることを示すものが見つかり、それをヒントにフィンを斜めに設けた案を検討することになった。「その事実を見逃していたら、行き詰まったままだったかもしれない」(同社理事で研究本部小石研究室研究室長の小石正隆氏)という。