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非磁性体を混ぜて課題を解決

 実は開発当初は、一般的な磁性流体を用いていた。磁力を印加すると磁性流体中の強磁性微粒子が磁力線に沿って並び形状を保持する。しかし、圧縮せん断に対する強度が足らず多様なワークを把持できるまでには至らなかった。そこで前田機工と九州工業大は、磁性流体に非磁性体の粒子を混ぜることでこれを解決した。出来上がったのがMRαだ。

図15 形状保持の原理
図15 形状保持の原理
磁力を印加すると、磁性流体中の強磁性微粒子が磁力線に沿って並び、カラム構造を形成して形状を保持する。ただし、通常の磁性流体だと形状が崩れやすい。MRαは磁力で整列した強磁性
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 MRαの場合、磁力線に沿って形成される強磁性微粒子の柱(カラム)の間に大きな非磁性体粒子が入り込むことで、形状が崩れにくくなる(図15)。加えて、非磁性体の分だけ強磁性微粒子を減らせたので、質量とコストを軽減できるという利点もあった。

 試作したハンドは、グリップ部の背面にネオジム磁石を設置。把持する際は同磁石をグリップ部に近づけ、開放する際は磁石が待避する構造となっている。

 ワークに合わせてグリップ部が変形するため、複雑形状のものほど高い保持力が得られる。包み込んで固めるので、ワークが外れにくいのだ。國本氏は、「将来は農産物などの1次産業にも適用できるのではないか」と期待をにじませる。農産物は、同じ品種なら似たような形をしているが、個体ごとに大きさや形状が少しずつ異なるからだ。今後はMRα自体の性能向上や軽量化、コストダウンを図り、2017年中には製品化したいとしている。