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【技術動向3】現場での柔軟性

 生産現場に協働ロボットを導入するのは、多品種少量生産への対応や作業内容の変更はもちろん、将来的に活用方法が変わっても対応できる柔軟性を備えるからだ。現状では人と作業領域を分けた上で協働ロボットを利用しているケースが多いが、将来は人とロボットの作業領域が重なるような使い方が広がる。協働ロボットにはそうした将来の変化に対応する高い柔軟性・拡張性がますます求められそうだ。

 例えば米Rethink Robotics社(以下、RR社)が開発・生産している「Sawyer」は、制御ソフトウエアをアップデートすることで、ロボットの機能を随時拡充している(図6)。2017年3月には、アームの先端に搭載したカメラでワークの向きを認識しピッキングする機能や、ロボットの動作に関するデータをリアルタイムで出力する機能などを追加した。日本でSawyerを販売する住友重機械工業によると、「これらは他社製品にもある機能だが、RR社は必要と考えれば後追いでどんどん機能を追加している」。

図6 米Rethink Robotics社の「Sawyer」
図6 米Rethink Robotics社の「Sawyer」
開発元の米Rethink Robotics社は、インターネット経由でSawyerのソフトウエアを随時更新している。例えば、頭部のカメラは、現在は機能していないが、今後利用できるようにするとみられる。
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 アームの抵抗を減らすことで、軽い力でもダイレクトティーチングができるようなアップデートも施している。「部品を取り換えたわけでもないのに、アームを動作させる際の抵抗が減った」(住友重機械工業)。

 今後は、現在は機能していないSawyer頭部のカメラを使えるようにしたり、7軸というアームの自由度を生かした新しい制御ロジックを組み込んだりといった更新も予想される。

米Rethink Robotics社の「Sawyer」

 ドイツKUKA社は、移動の柔軟性を高めようとしている。具体的には、協働ロボットの「LBRii wa」を無人搬送車(AGV)に載せた「KUKA MobileRobotics iiwa(KMR iiwa)」を開発、2017年中の発売を目指す(図7)*5。このAGVは、走行用に4つのオムニホイールを備える他、レーザースキャナーなどを駆使して周囲の状況を計測し、マッピングしながら自律的に走行する。いわばロボットAGVだ。

*5 ドイツで開催される世界最大級の産業技術展示会「Hannover Messe」など、国内外の展示会でデモンストレーションを既に披露している。

図7 ドイツKUKA社の「KMR iiwa」
図7 ドイツKUKA社の「KMR iiwa」
7軸の協働ロボット「LBR iiwa」を独自開発のAGVに搭載したもの。レーザースキャナーなどのセンサーを複数備えており、周囲の状況を計測しながら4つのオムニホイールを使って自由に動き回れる。
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 同社の狙いは、ロボットが自律的に生産現場を動き回れるようにし、指示1つで人間の同僚のように人員の足りない現場に移動できるようにすることにある。KUKAロボティクスジャパン(本社東京)代表取締役社長の星野泰宏氏によると「KMR iiwaの導入などによって、作業の3割を人が行い、残り7割を自動化する工場の建設プロジェクトが現在進行している」という。

 現行のKMR iiwaよりも小型の機種を展開する計画もある。小回りが利くようにすることで、工場内におけるモビリティー性をさら に向上させる戦略だ。

ドイツKUKA社の「KMR iiwa」(動画:KUKA社)