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発振器をICに内蔵
IoTやGPS向けで可能性

図6 パッケージ内に振動子を内蔵も
図6 パッケージ内に振動子を内蔵も
上は、プロセッサーなどのICと同じパッケージ内に発振器を収めたイメージ。外付け部品を少なくできる。中央は、パッケージ内に収める発振器として、MEMS振動子と補償回路。補償回路はICメーカーにIPコアとして提供することができる。下は、MEMS振動子をICパッケージ内に収めて実装面積を減らした例。(図と写真:米SiTime社)
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 小型でSiウエハーへの実装が容易なSi製のMEMS振動子は、補償回路と共にICパッケージ内に組み込むことが技術的には可能である。実際SiTime社は、ICパッケージ内にMEMS振動子と補償回路を収める技術を開発済みだ(図6)。補償回路はIPコアとしてICメーカーに提供して、MEMS振動子の温度変化を補償する。こうした技術を使って、MEMS発振器とICの1パッケージ化が進む可能性がある。特に利点が出るのは小型化への要求が強いIoT向けの無線チップなどだ。

 「発振器までパッケージに内蔵すれば外付け部品が減り、実装面積やコスト、消費電力の面で有利になる可能性がある」。MEMS発振器のICパッケージへの内蔵に関心を示すのは、Linear Technology社の日本法人リニアテクノロジーで無線センサーネットワーク「Dust Networks」を推進するダスト・エバンジェリストの小林純一氏だ。仮にDust Networks用の送受信ICのパッケージ内に発振器の機能を内蔵できれば多くの利点が生まれる。しかもこうしたICは消費電力が低く、パッケージ内の温度が使用環境の温度から大幅に上がることはないので温度補償もしやすい。

 IoT向けチップと同様に、パッケージに発振器を内蔵する可能性があるのが、GPS(Global Positioning System)を含む位置情報システムのGNSS(Global Navigation Satellite System)対応ICである。受信信号に同期するため、使用温度範囲における周波数変動が±数ppmのクロック源が端末側では求められる。TCXOか代替品が必要な精度だ。こうした用途でも「発振器をICパッケージに内蔵できれば外付け部品を減らせて設計が容易になる」(GNSS対応モジュールを開発しているメーカーの技術者)との見方がある。

 実は水晶振動子では、ICパッケージではないが近距離無線通信モジュールに内蔵したモジュール品が既に市場に出ている。セイコーエプソンは、300M~465MHz/600M~930MHzのサブGHz帯を使う無線通信ICと水晶振動子(使用温度範囲での周波数変動は±20ppm)を3.2mm×2.5mmのパッケージに収めた。無線の搬送波周波数は、MEMS発振器と同様にPLL(Phase-Locked Loop)回路によって変更できる。キーレスエントリーシステムや無線タグなどへの応用を見込み、2016年3月に量産を始めた。