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新たなコンピューターアーキテクチャの姿を探る競争が始まった。中国が「TOP500」を制したスパコンで取った手段は、どちらかといえば限界が来るまでの期間に余裕を持たせる策といえる。微細化が終わっても性能を高める提案はいくつかあるものの、どれが本命かはまだ見えない。しばらくは模索の時期が続きそうだ。

 「何年もの間、コンピューターアーキテクチャに誰も興味を持たなかった。今や状況は変わり、非常にエキサイティングな議論が交わされている」(米Lawrence Berkeley National LaboratoryのHorst D.Simon氏)。微細化が終わっても、コンピューターの性能を高め続けるにはどうしたらいいのか。この問いに答えを出そうと、さまざまな手法が提案されている。今のところ検討は初期段階で、何が主流になるのかは不透明だ。

 この議論に一石を投じたのが、2016年6月発表の「TOP500」で首位になった中国National Supercomputing Center in Wuxiの「Sunway TaihuLight」である1)、2)。ただし、その技術は、微細化の限界を超えるというより、限界が来るまでの時間に余裕を持たせる方法といえる。同機が内蔵するプロセッサー「SW26010」は、古い世代のプロセス技術で製造されているためだ。以前の技術で高い性能を実現できるので、最新技術を使って同等の性能を達成する競合よりも長い間、微細化の恩恵を受けられる(図1)。

図1 単純なハードの活用で高い性能を実現
図1 単純なハードの活用で高い性能を実現
中国National Supercomputing Center in Wuxiの「Sunway TaihuLight」は、最先端半導体技術を使わずに、単純化したハードを用いることで、高い演算性能やエネルギー効率を実現した。古い世代のハードウエア技術を使うため、先端技術が微細化の限界に達した後にも数年の猶予を確保できるとみられる。ただしソフトウエアは一から作る必要がある。一方で日米などのスパコンは、最先端半導体技術などによる従来型ハードウエアの改良で性能を向上していく見込みだ。微細化が限界を迎えた後にも性能を高め続けるには、新たなアーキテクチャに移行する必要があり、その際にはソフトウエアの互換性が犠牲になる可能性がある。
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