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計測技術と素材が進化

 このように、オリンピックでは用具と設備の両面でさまざま新技術の開発が進む。その背景として共通するキーワードが2つある。「計測技術」と「素材」だ(図2)*5、6。オリンピック/パラリンピックで今後重要になりそうな技術としても、本誌が実施したアンケート調査では、「人間の動作を解析する技術」や「超高速度撮影・画像処理・物体認識」を挙げる回答が多かった(Part3数字で見る現場を参照)

*5 同「GPS、ドローン…、ラグビー日本を支えたテクノロジー

*6 同「着るセンサーが見た時速300kmの世界、驚異の『耐G行動』

図2 計測技術の進化が生み出す効果と用途
図2 計測技術の進化が生み出す効果と用途
従来は取得できなかったような、空間的かつ時間的に詳細な情報を入手できるようになった。これにより、計測データの活用範囲が大幅に広がった。データ量も膨大になるため、ビッグデータ解析のような技術も必要になる。
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 例えば、水着の開発でデサントは筑波大学と共同で、水中での選手の動作や筋肉の働きを計測する装置を活用した。アシックスは、マラソン用シューズの開発において、シューズの裏に貼り付けた力センサーによって、どの方向にどの程度の大きさの摩擦力が必要かを計測。また、同社は新開発した陸上用ウエアの機能を検証するため、ひずみセンサーを選手に貼り付けて計測している(Part1用具編の陸上競技を参照)。

 計測したデータは用具の開発だけではなく、前述した体操の自動採点システムのような用途での活用も進む。人体の動きを計測して結果を分析し、選手のトレーニングに役立てたり、自チームの作戦立案に活用したりできる。

 一方、素材の進化では、全く新しい素材が開発されるというよりは、他分野で活用されていた素材を応用したり、使いこなしの技術が進化したりというイメージだ。素材そのものと加工・製造技術がセットになっている場合が多い。

 例えば、ヨネックスがテニスラケットのストリングに採用した技術は、釣り糸向けに開発されたものだった(Part1用具編のテニスを参照)。シリコーンゴムをストリングに含浸させる技術である。ストリングの摺動性を高めるために、従来はコーティングで対応していたが、耐久性に問題があった。含浸させることで、高い摺動性を長期間維持できる。