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第5世代移動体通信「5G」の全貌が見えてきた。技術的にも用途の上でも、これまでの2G~4Gの移動体通信から大きく変わる。超高速通信に加えて、自動運転車やロボット制御、さらにはIoT関連技術にそれぞれ最適化した仕様を盛り込む。2020年代の基幹ビジネスを支える通信インフラになる見通しだ。

 超高速通信だけでなく、クルマの自動運転やドローンを含むロボットの遠隔制御、高精細映像を用いた遠隔手術、1兆個のセンサーや第4の産業革命といわれる「Industry 4.0」の中核インフラの1つになる─。

 それが、第5世代移動体通信技術とサービス「5G」だ(図1)。3GPPでの標準化作業には、従来の通信事業者や通信機器ベンダーだけでなく、トヨタ自動車の関連企業や米General Motors社、日立製作所など物流システムのベンダーなども参加し始めた。

5G=国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が「IMT-2020」として、最大データ伝送速度20Gビット/秒などを勧告した移動体通信技術とサービスを指す。標準化作業は3GPPが進める。3GPPの規定「Release 14」では、5Gの基本検討(Study Items)を進める。正式な5Gの仕様は「Release 15」以降となる。Release 15では、「5G Phase 1」として大容量通信などを規定する。一方、超低遅延や大量IoTは、Release 16の「5G Phase 2」で規定される見通しである。
3GPP(Third Generation Partnership Project)=第3世代移動体通信(3GまたはIMT-2000)の標準化のために政府系標準化団体が結成した組織。
図1 無線アクセス技術の3つの流れが合流して5Gに
図1 無線アクセス技術の3つの流れが合流して5Gに
5Gでは、移動体通信技術の“既定路線”である高速・大容量化に加えて、新しい2つの技術が合流する。1つが、大量のIoT端末に対応する技術。もう1つが、超低遅延といわれる技術である。高速・大容量化では、ほとんどの場所で4K/8K映像がスマートフォンなどで視聴可能になる。超低遅延は、遠隔手術やロボットの遠隔制御、そして自動運転などを想定する。大量IoTでは、スマートメーターのほか、工場での生産品すべての流通ルートをトラッキングするような使い方を想定する。
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 この5Gの技術仕様や想定用途については、数年前から議論されてきたが、この1年ほどで急速に具体性が増し、最近になって3つの柱となる要求条件がほぼ固まった注1)、注2)

注1)約1年ほど前までは、5Gへの要求条件は10件以上もあった。「これもあれも盛り込みたいと、増える一方だった。ただ、3GPPでシステムの性能を評価できなくては意味がない。多数議題に上がった中から、性能を実際に評価できる要件に絞り込んだ結果、3つの要件が残った」(NTTドコモ の中村氏)という。
注2)2016年9月の3GPP TSG Radio Access Network(TSG RAN)の会合#73でRelease 15の要求条件が決定される。