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製品やサービスがヒットを飛ばすには、優れたユーザー体験「UX(User Experience)」の提供が欠かせない。例えば米Apple社の「iPhone」は、斬新なUXを実現することでスマートフォンという新市場を立ち上げた。本連載では、UXを適切にデザインする手法の基礎を、技術者にも分かりやすく解説する。第1回は、ユーザーの体験と製品の機能の違いを説明する。(本誌)

 あなたのスマートフォンには、いくつのアプリがインストールされているだろうか。その内、よく使うものはいくつだろうか。スマートフォンの視聴率調査をしているニールセンによると、月に平均10回以上使うアプリは平均9個だそうだ。あまたあるアプリの中から選ばれ、そして使い続けてもらうためにはどうしたらよいか。スマートフォンのアプリやサービスの開発者にとって、今や不可欠な技術となりつつあるのが、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインである。ユーザーの利用体験(エクスペリエンス)を開発の初期段階から考慮することで、ユーザーが使ってうれしい製品やサービスを提供できるようにする技術である。

 本連載では、UXデザインの考え方と手法について解説する。UXデザインは、ソフトウェアやアプリケーションの開発に関するものだと思われがちである。だが今後は、製造業でも非常に重要になることを指摘したい。製造業といっても幅広いのだが、製品を使う人が存在するものであれば、広くこの考え方は適応できると考えられる。本連載を通して、特に製造業に携わる技術者にUXデザインの発想を理解してもらい、ユーザーにとって魅力的な製品の開発に力を発揮していただきたい。

人とのかかわり合いに注目

 企業間(BtoB)でも消費者向け(BtoC)でも、製品やサービスを使うのは基本的には人である。極端な話、工場で利用される部品も、部品だけが単体で存在することはなく、部品を使って製品の設計をする人や、部品を実際に組み付ける人など、さまざまな人が関わっている。こうした人々はそれぞれの立場でその部品を使っているわけで、このような人とモノやサービスの関わりあいに目を向けることが、UXデザインの出発点である。