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体験を見える化して検討

 冒頭に紹介したUXデザインの二つ目のポイントに、製品の設計に入る前に、ユーザーにとって理想的な体験をデザインすることがある。そのための方法論は、既に体系的にまとまっている。現在のUXデザインが使っている手法は、多かれ少なかれ『エクスペリエンス・ビジョン』(山崎ほか、丸善出版、2012年)に書かれている。さまざまな制約がある現実の製品開発で、そっくりそのまま実行できるわけではないが、考え方は非常に優れており、一読をお薦めする。

 例えば構造化シナリオ法という手法では、本連載の第3回で解説した「バリュー(価値)」「アクティビティ(体験)」「インタラクション(機能の操作)」の関係を基に、価値から順を追って具体的なインタラクションに仕様を詳細化していく(図6)。まず体験コンセプトができたら、それを得るためにユーザーはどんな行動をすべきか,そのために必要な機能や操作は何かとブレークダウンして考えていく。

図6 構造化シナリオ法
図6 構造化シナリオ法
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 このほか、体験を実際に演じてみるアクティングアウト(図7)や、アクティビティとインタラクションを書き出して同時並行的に評価するストーリーボード(図8)という手法なども使う。ストーリーボードは、体験を時間軸に沿って検討する段階でよく使われる方法で、体験とそれに必要なインタラクションを時間軸にそって併記し、その流れを一通り辿ってみて(ウオークスルー)評価する。

図7 アクティングアウト
図7 アクティングアウト
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図8 ストーリーボードによる評価
図8 ストーリーボードによる評価
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 UXデザインでは、製品やサービスを作り込んでいく過程で、企画の抽象度に合わせて常に体験を見える化し評価を繰り返していくことが重要となる(図9)。

図9 企画の抽象度に合わせた体験のみえる化と評価の技法
図9 企画の抽象度に合わせた体験のみえる化と評価の技法
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