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差異化はセンサー技術で

 次に、機器やサービスを差異化するためにどのような要素技術が重要になるかを聞いた。約32%と最も多くの回答者が選んだのが「センサーの進化」だ(図4)。センサーは、図1や図2で上位に入ったロボットやウエアラブル機器、自動運転車でも不可欠の技術である。例えば自動運転車の場合、高精度なGPSやカメラ、レーダーなどのセンサーが求められる。また日立製作所 研究開発グループのエレクトロニクスイノベーションセンタでセンタ長を務める西村信治氏は、「機器やシステム、サービスを差異化するには、市販品ではカバーできない特殊なセンサーが必要になる」と説明する。同社は、こうした差異化につながるセンサーを自前で開発している。2015年7月に日立オートモティブシステムズと発表したひずみセンサーもその1つだ。センサー素子の接合部分に独自の金属接合技術を用いることで、接合部分の劣化が少ない高信頼なセンサーを実現したとする(図5)。-40~+120℃の温度耐性を備えており、長期間にわたって高精度な計測(連続8000時間の連続ひずみ負荷試験で出力変動が1%以下)が可能という。

図4 センサーの進化が重要
図4 センサーの進化が重要
機器やサービスを差異化するために重要になると考えられる要素技術を尋ねた(3つを回答)。「センサーの進化」が3割以上と突出して多く、「制御技術の高度化」「信頼性の高い部品」「電池やエネルギーハーベスティング技術の進化」などが続いた。一方、メモリーやストレージ、ディスプレーといった技術の進化に期待する割合は低かった。(図:本誌のアンケートを基に作成)
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図5 足りないセンサーは自前で開発
図5 足りないセンサーは自前で開発
日立製作所らが2015年7月に発表したひずみセンサー。センサー素子と制御回路を1チップ化しており、加重や圧力、トルク、引張り、せん断力、低周波振動などを計測できる。さまざまなIoTサービスに共通して必要と判断し、自社で開発した。(図:日立製作所)
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 センサー以外では、「制御技術の高度化」(20%)や「信頼性の高い部品」(19%)、「電池やエネルギーハーベスティング技術の進化」(18%)、「システム設計技術の進化」(約17%)、「パワー半導体の高性能化」(約15%)、「セキュリティーの高度化」(15%)などの割合が高かった。例えばパワー半導体の場合、差異化に向けてGaNやSiCを使った半導体の活用が期待されている。従来のSi半導体よりも電力損失や温度特性に優れる次世代のパワー半導体だ。特にSiCパワー半導体は、太陽電池のパワーコンディショナーやエアコン、鉄道車両向けのモーター用インバーター装置などでの採用が既に始まっている他、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)への使用も見込まれている。さらに将来は「送電システムのトランス(変圧器)やロボットのサーボモーター用などへの適用も期待できる」と三菱電機 開発本部 役員技監の大森達夫氏は説明する。

 なお、パソコンやスマートフォンなどを差異化する上で重要だった「メモリーやストレージの大容量化」や「ディスプレーの進化」はそれぞれ約6%、約4%と低かった。これらは装置産業でありコモディティー化が進んでいることから、差異化の要素にはなりにくいと考える人が多いようだ。