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組織風土は依然として閉鎖的

図2 伸び悩む日本企業
図2 伸び悩む日本企業
電子情報産業の生産額と前年比率の推移。世界に比べて日本企業の成長率は低い。(図:電子情報技術産業協会の資料を基に本誌が作成)
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 ただしアンケートでは、「輸出も国内市場も振るわずに産業規模が縮小する」の割合も約29%と低くはなかった。実際、近年の電子産業における日本企業の生産額の成長率は世界よりも下回っている。例えば、世界の電子情報産業の生産額注1)が前年比率で124%と大幅な伸びを示した2013年は、スマートフォンやタブレット端末の市場が世界的に拡大したが、日本企業はスマートフォン/タブレット端末の恩恵を得られたのが部品メーカーに限られたことなどから前年比率が108%にとどまった(図2)。2015年の前年比率も世界が約105%なのに対して、日本企業は約103%になる見通しだ。

注1)AV機器、通信機器、コンピューターおよび情報端末、その他電子機器、電子部品、ディスプレーデバイス、半導体、ITソリューション・サービスの生産額

 それでは、日本企業の成長を阻むリスク要因は何か。アンケートで聞いたところ、「オープンイノベーションに向かない企業風土」が約42%で最も高く、「少子高齢化」(約40%)や「為替変動」(約37%)、「人材の流動性の低さ」(約29%)が続いた(図3)。オープンイノベーションの取り組みに本腰を入れるメーカーが増えていることは第1部でも述べたが、依然として閉鎖的な企業風土を案じる人は多いようだ。

図3 日本企業の最大のリスク要因は企業風土?
図3 日本企業の最大のリスク要因は企業風土?
日本企業の成長を阻むリスク要因を聞いた(3つ選択)。「オープンイノベーションに向かない企業風土」が4割以上と最も多く、「少子高齢化」「為替変動」「人材の流動性の低さ」が続いた。依然として閉鎖的な組織風土を案じる人が多いようだ。(図:本誌のアンケートを基に作成)
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 2番目に高かった少子高齢化については、人手不足の対応策として外国人の人材を登用するなどのグローバル化が検討されている。しかし、閉鎖的な企業風土では人材のグローバル化も難しい。少子高齢化に向けた人材確保のためにも、企業風土の改善は待ったなしの状態と言える。

品質や開発力、人材は今も強み

 日本の電子産業は以前ほどの存在感はなくなったとはいえ、米Apple社が横浜市に大規模な技術開発拠点の開設を決めるなど世界からの注目度は高い。他国の企業と比べた日本企業の強みを聞いたところ、最も支持されたのは「やや強い」「強い」を合わせた回答が約95%に達した「品質の高い製品の製造力」だった(図4)。また「きめ細やかなアフターサービス」(同約88%)や「高性能高機能製品を安価に実現する設計力」(同約75%)、「最先端の研究開発力」(同約59%)も高いことから、製品の品質やサポート、開発力は今も高水準にあるとみている人が多いようだ。

図4  強みは「品質」「アフターサービス」「先端開発」
図4  強みは「品質」「アフターサービス」「先端開発」
他国の企業と比べた日本企業の強み弱みを聞いた(複数回答)。品質やアフターサービス、最先端の研究開発は強いという割合が高かったが、一方で製品企画力や業界標準、新市場の開拓力が弱いという割合が高かった。(図:本誌のアンケートを基に作成)
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 しかし一方で、「斬新な製品企画力」「業界標準を生み出す能力」「新たな市場を切り開く能力」については、「やや弱い」「弱い」の割合が高い。日本のメーカーが多くの要素技術を持ちながらiPhoneのような製品を生み出せていないことや、コンピューターや通信などの国際標準化において主導権を握れないことなどが背景にあるとみられる。

 今回のアンケートでは、日本企業のこの他の強みと弱みを自由意見として聞いた(図5)。全体的な傾向として目立ったのが、人材の平均能力は高いが組織の体制や構造に課題があるという指摘だ。

図5 人は優秀だが組織体制に課題
図5 人は優秀だが組織体制に課題
自由意見で挙がった図4以外の日本企業の強み(a)と弱み(b)の例。(図:本誌のアンケートを基に作成)
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 例えば強みとして「勤勉さ」「平均的な教育水準の高い人材」という意見がある一方で、「社内でリーダーシップを取れる人材が育成されていない」「会議などに余計な時間を取られる、根性論」「ピラミッド構造組織、護送船団方式の業界運営」といった声が挙がった。また個々の柔軟性や成果主義の不備、保守的な組織を弱みとして挙げる声もあった。