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SiCの登場が高温技術を進展

 デバイスや実装技術が、200℃といった高温対応に向かうキッカケとなったのは、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスだ。SiC半導体は、既存のSi半導体と比べて高温で高速のスイッチング動作が可能だ。家電、電車、自動車など、幅広い分野で利用されている。

 SiCの能力を存分に発揮するには、高温動作が欠かせない。SiCの重要な特徴は、トランジスタ素子の接合温度(Tj)が高くても動作する点だ。環境温度に、自身の発熱による上昇分を加えた接合温度が、200℃を超えても機能する。Siでは、一般には175℃、特別な工夫で高くしても200℃程度だった。単体では800℃の高温動作も可能なSiCは、1トランジスタで大きな電流を扱え、Siよりも少ない素子数で済む。また、強力に冷やす必要もなくなるので大きくて高価な放熱装置が不要になる。

 SiCを今より高温で動作させることができれば、回路のいっそうの小型化・低コスト化につながる注2)。この結果、SiCと組み合わせて使う受動部品や実装部材の高温対応を促している(図2(b))。産業技術総合研究所は、「SiC半導体だけではなく、周辺まで含めた開発が必要」(同研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長の奥村 元氏)との観点からコンデンサー、抵抗器、はんだ、プリント配線基板などSiCと組み合わせて使う部材の高温化の研究に2015年3月まで取り組んだ注3)

注2)ただし、高温になれば半導体のオン抵抗は高くなり、発熱が増える。このため「パワーモジュールの体積当たりの電力(パワー密度)を最大にする接合温度の最適値が存在する」(産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター副研究センター長の山口浩氏)。ある条件下では、最適値は200℃弱との試算がある。
注3)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託によって研究した「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」の「高耐熱部品統合パワーモジュール化技術開発」で、産業技術総合研究所が民間企業などと共同で実施した。