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 Google Glassをはじめとして、ヘッドマウントディスプレー(HMD)や眼鏡型ディスプレー(スマートグラス)などの映像・画像を扱うウエアラブル機器は、当初は民生用として開発されたものが多かった。漫画「ドラゴンボール」に登場する「スカウター」や、アニメ「電脳コイル」の電脳コイルのような世界を実現する近未来的デバイスとして一般消費者からも大いに注目され、製品化が期待されていた。

 ところが、価格が高いことに加え、カメラを備えていることから盗撮やプライバシー侵害にどう対応するかといった課題が取りざたされるようになり、民生用途での利用に暗雲が垂れ込めてきた。

 代わって脚光を浴びたのが業務利用だ。日本でもソニーの「SmartEyeGlass Developer Edition」やセイコーエプソンの「MOVERIO BT-200」などは民生品として開発されたが、蓋を開けてみると法人からの問い合わせが多かったという。そのため、メーカー各社も方針を転換しつつある。例えば、セイコーエプソンが2015年6月に発表した業務用の「MOVERIO Pro BT-2000」。民生利用を想定していたBT-200を業務に使いたいとの市場の声を受けて開発したものだ。

 ソニーも当面のターゲットは業務用としている。「法人からの問い合わせが相次いでいる」(ソニー デバイスソリューション事業本部新規事業部門SIG事業室統括部長の武川洋氏)。実際、英Virgin Atlantic社は、ソニーのSmartEyeGlassを使った機体整備の作業支援システムの実証試験を行っている(図1)。

図1 スマートグラスを飛行機の機体整備に試験導入
図1 スマートグラスを飛行機の機体整備に試験導入
英Virgin Atlantic社が機体整備作業に「SmartEyeGlass」を試験導入した。写真:Virgin Atlantic社のWebサイトから。
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 2015年度内に眼鏡型ディスプレーを製品化するとみられる東芝も、業務用を主たる市場と見据えて開発を進めている。「これまで300社あまりと話をしてきたが、業種を問わず物流現場と遠隔作業の支援に使いたいとの声が多い」(東芝研究開発統括部マーケティング戦略室主務金子祐紀氏)ことから、まずはそこを狙っていく。海外工場の遠隔作業支援に使いたいとの要望も少なくないという。