PR

並べて比較すると、どうしても質感で見劣りする日本メーカーのクルマ。三菱自動車はAudi社やBMW社をベンチマークに据え、大掛かりな改良を加えた。人工皮革や塗装レス樹脂などの新材料の採用も進み始めている。脳波を活用した評価手法の導入にも期待がかかる。

 自動車業界の関係者は異口同音に「日本メーカーは内装作りが下手」と話す。それでも自動運転の時代は訪れ、米Apple社や米Google社などの新興勢力は攻めてくる。そして、「クルマは単なる移動手段から顧客サービスに変貌する」〔米Ford Motor社社長兼CEO(最高経営責任者)のMark Fields氏〕。

 だから、“下手”という言葉で片付けてしまうと、日本の自動車メーカーの競争力はさらに低下していくだろう。学ぶべきは欧州メーカーに学び、新しい素材や造形技術、定量的な評価手法を積極的に導入する時期が訪れている(別掲記事参照)。

 自動車業界のコンサルティングを手掛けるオーストリアEFS社は、定期的にクルマの内装を定量評価している。その結果浮き彫りになるのはいつも、「日本車の内装には改善の余地がある」(EFS社)ということだ。

 内装の評価軸としては「パーシーブドバリュー」〔人間の知覚に基づいた価値(以下「知覚価値」)〕、「個性」、「使いやすさ」、「革新性」、「運転したくなるか」、「無駄のなさ」、「快適性」、「安全・安心感」の8項目がある。このうち、自動運転車になると「運転したくなるか」という観点の重要性は下がるが、他の項目は基本的に変わらないだろう。

 同社が2009年に実施した、欧州で販売されているCDセグメントの車種を対象にした調査で、特に低い評価を受けたのがマツダである。同社はその後、デザインテーマ「魂動(こどう)」を導入し、外観では高い評価を得るまでになった。内装の改善も進んでいるが「まだまだやるべきことは多い」(同社車両開発本部本部長の冨田知弘氏)。

 EFS社の調査で特に高い評価を受けるのはドイツAudi社で、「それほどコストをかけずに高い質感を表現している」(EFS社)。Audi社には、クルマの質感を高めることを目的とした「五感チーム」(同社)なる組織が存在する。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の専門家がそれぞれいるという。嗅覚のチームには「匂いを嗅ぎ続けて20年というベテランもいる」(同社)ほどだ。