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エッジコンピューティングという、新しい情報処理の枠組みに注目が集まっている。これまでクラウドサーバーに任せていたデータ処理を、端末や端末近くに設置したコンピューターを使って実行する。エッジコンピューティングは、クラウド事業者が支配する現状を打破する可能性を秘める。

 クラウドサービス事業者の独占を崩す─。電機業界やIT業界で今、「エッジコンピューティング」という新しい情報処理の枠組みを推進する機運が高まっている。すべてのデータをクラウドに集めて処理するのではなく、その一部あるいは全部を、端末や端末に近いサーバーで処理することで、クラウドへのデータ集中に伴う諸課題を解決しようというものだ(図1)。

図1 エッジコンピューティングがもたらすパラダイムシフト
図1 エッジコンピューティングがもたらすパラダイムシフト
これまでのインターネットサービスでは、端末で発生したデータは中央にあるサーバーで収集・解析され、ここを管理する企業がサービスを支配していた。ユーザーに近い場所(エッジ)でセンサーデータを収集・解析するようになることでエッジ側にも大きな価値が出てくる。
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 エッジコンピューティングの台頭は、業界秩序の変革を促す可能性を秘める。これまで米Google社に代表されるクラウドサービス事業者は、クラウドに膨大なデータを集中させてさまざまに加工・活用し、大きな収益に変えてきた。一方、端末のハードウエアを開発・販売するメーカーは、熾烈な競争によって、ほとんど儲けが出ない状況に陥っている。エッジコンピューティングが本格的に普及すれば、主要な処理はエッジでなされ、広く共有すると価値があるデータだけがクラウドに送信されるようになる。つまり、エッジコンピューティングの実行基盤(プラットフォーム)を握る企業にも高い収益を上げるチャンスが生まれる。

 エッジコンピューティングの覇者は現時点では確定していない。エッジコンピューティングに使うハードウエアの標準化や、エッジで動作するソフトウエアとクラウドで動作するソフトウエアをどのように記述し、連携させるかといった標準はまだ存在しないからだ。エッジコンピューティングを推進したい各社が、独自に仕様を定めている段階だ。今後の取り組み次第では、どの企業も次の時代で勝ち組になれる可能性がある。

 ただ、この状況に、クラウド事業者も気づいている。既に、Google社はエッジコンピューティングに利用可能なWi-Fiルーターを市場に投入済みである(別掲記事参照)。今後、機器メーカー、半導体メーカー、クラウド事業者などさまざまな業種の会社が次世代の覇権を巡り火花を散らしそうだ。

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