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 ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)は剛性が高く、耐熱性や耐疲労性にも優れる。化学薬品に接触したり、高温で消毒したりする必要がある医療機器などに適している。しかし、金属と高強度で接合する方法がないのが欠点だった。

 ダイセル・エボニックは2015年に、PEEKを金属と直接接合する技術を開発したと発表した。レーザー処理で金属の表面に微細な凹凸を設け、そこにPEEKをオーバーモールドし、金属と接合させる方法だ。PEEKが金属の凹凸に食い込むことで生じるアンカー効果により、アルミニウム合金に対して30~40MPa、鋼材に対して25~30MPaの接合強度が得られている。

接合面近くにひずみが生じにくい

 レーザー処理とオーバーモールドによる金属と樹脂の接合方法は、他の樹脂でもよく使われる方法だ。ただし、「PEEKは特にレーザー処理による接合・接着に向いていると考えている」(ダイセル・エボニック テクニカルセンター所長の六田充輝氏)という。

 その理由は、温度変化による物性の変化が小さいため。100℃を超えても、150℃くらいまでは曲げ弾性率がそれほど急激には変化しない(図1)。同じく耐熱性の高いポニフェニレン・スルフィド(PPS)に比べても、曲げ弾性率の変化は大幅に少ない。線膨張係数も200℃近くまで安定している。

図1 レーザー処理での接合はPEEKの長所を生かせる
図1 レーザー処理での接合はPEEKの長所を生かせる
耐熱性の高い樹脂の中でも、PEEKは150℃付近まで曲げ弾性率や線膨張係数などの変化が小さい。レーザーで処理した金属にPEEKをオーバーモールドして接合すると、温度変化に対して接合面付近に生じるひずみがPPSなどより小さく、耐久性の高い接合になると期待できる。「L4000G」「2000G」はPEEK(商品名「VESTAKEEP」)のグレード名。
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