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 「日本の自動車メーカーは、生産ラインの設備を大切に長く使う。その前提を踏まえた上で、接合・接着技術も提供しなければならない」(神戸製鋼所技術開発本部機械研究所マルチマテリアル構造・接合研究室室長の槙井浩一氏)。神戸製鋼所はさまざまな接合・接着技術を研究する中で、実際に提供する技術は現実的に使いやすいものであるべきとの認識を強めている。

 その具体例が、同社が最近市場に供給を始めた、鋼とアルミニウム合金の溶接に使える溶接用溶加材のフラックス・コアード・ワイヤー(FCW)と、同じく鋼とアルミニウム合金を樹脂で接合する技術である。

アルミニウム用溶接材料を改良

 FCWはもともと、アルミニウム合金同士の溶接に使うワイヤーを改良して、鋼への接着性を確保したものである。既存のアルミニウム合金用溶接装置をそのまま利用できるのが特徴だ(図1)*1

*1 販売はナイス(本社兵庫県尼崎市)が担当する。ナイスは溶接材料と溶接施工を手掛ける企業で、新しいFCWの開発にも参加している。
図1 鋼とアルミニウム合金の接合用ワイヤー
図1 鋼とアルミニウム合金の接合用ワイヤー
既存の溶接設備で鋼とアルミニウム合金を接合することを目指して神戸製鋼所がナイスと共同で実用化した。
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 FCWはアルミニウム合金(A4047)の線(直径1.2mm)の中心部に薬剤(フラックス)が詰まった構造。外側のアルミニウム合金は溶接の際に溶けて、被接合材である鋼とアルミニウム合金の境界で固まり、両者を接合する。中心部の薬剤には、被接合材表面の酸化膜を除去するなどの機能があり、溶けたFCWのアルミニウム合金をなじみやすくする。この構造そのものは既存のワイヤーと同じだが、薬剤の工夫などにより鋼との接着性を高めた。