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シールドの材料と構造を考える

 シールドに用いられる磁性吸収シートは反射と吸収を兼ねた材料だが、エネルギーを完全に吸収する機能はない。特に低周波に対しては、シートが薄いこともあり、効果はそれほど高くないことを理解しておきたい。

 具体的なシールドの方法では、構造が非常に重要である。例えば2枚の金属シールド板を使う場合(図3)、周波数やノイズ源との位置関係によってはアンテナになってしまう。周囲をネジ止めし、さらに側面にシールド壁を設けたり中央部もネジ止めしたりするなどして、多点でグラウンドに落とすことが重要だ。また、シールド壁も線で接触するのではなく、折り返しなどを用いて面で接触させることで、強固なシールドになる。こうしたわずかな配慮でも、実際には効果に大きな違いが出る。これらは一般的なセオリーとしての考えであり、状況によっては相反する挙動をすることもあるので、注意が必要だ。

図3 シールドの具体的方法のイメージ
図3 シールドの具体的方法のイメージ
2枚の金属板を使う場合、相互にネジ止めし、さらに周囲にシールド壁を設けることでより優れたシールド性能を発揮する。また、シールド壁も線での接続より面での接続とし、さらにネジ止めなどによりシールド性能が向上する。
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 シールドの良否による効果の例を以下に示す。図4はいずれもゲーム機からのノイズであり、図4(a)が初期状態、同図(b)が基板の近くにあった金属板を取り除いた場合である。(b)では300MHz、400MHz、600MHz、800MHzの周辺にノイズのピークがある。これらは300MHzで動くプロセッサーと、400MHzで動くDRAMの1次と2次の高調波に相当する。

図4 具体的なシールド効果の差異
図4 具体的なシールド効果の差異
(a)は初期状態、(b)は基板近くの金属板を取り除いた状態、(c)は内側のシールド板の接地を4点だけに減らした場合。使用部品はほぼ同じでも、周波数によってはノイズレベルが急激に上昇してしまう。
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 さらに図4(c)では、シールド板に施されていた多点での接地部分に手を加えて、4点だけで接地する状態にした。300MHz、400MHzでのノイズ増加は当然としても、900MHz近辺にシールドなしの状態よりも強いノイズ放出が見て取れる。高周波になることで、わずかな隙間からノイズが漏出しているのだ。こうした場合、後工程で導電性のテープを貼るなどの処理が必要になり、コストに大きな影響を与えてしまう。ノイズ対策は設計の初期段階から配慮すべきであることが分かる。