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FPGAで汎用コンピューター

 深いパイプライン構成が示すように、FPGAの最大の切り札は、処理ごとに最適化した回路を実現できることである。しかもベースとなるハードウエアは同一で済む。最近では同じFPGAの上に、用途ごとに特化した回路を実装して販売する例も現れた(図7)。

図7 スーパーコンピューターもリコンフィギュラブルに
図7 スーパーコンピューターもリコンフィギュラブルに
Edico Genome社は、FPGAの最大の特徴である、ハードウエア設計を変更できる点を生かしたプロセッサー製品を提供している(a)。解析対象の違いに応じて専用処理回路を設計し、それをFPGAに実装して製品として発売する。スーパーコンピューターでも、FPGAを利用して計算対象に応じた専用処理回路を切り替えるようにすれば、従来の特定用途での性能重視か汎用性重視かといった議論が終焉する可能性が出てくる(b)。(図:(a)はEdico Genome社)
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 一方で最近のFPGAには、実装する回路の一部を動的に切り替えられる動的再構成の機能が入りはじめた。このことは、これまでソフトウエアを入れ替えることで実現していたコンピューターの汎用性を、ハードウエアの切り替えによって実現する可能性を示唆する。実際、Microsoft社はFPGA上で実行するアプリケーションを動的再構成機能で切り替えることを検討している2)

 専用回路の動的再構成が使いやすくなれば、FPGAを用いた汎用コンピューターが実現するかもしれない。例えばスーパーコンピューターの分野では長年、特定用途に向いた専用のプロセッサーから成るシステムと、汎用プロセッサーから成るシステムの間で設計が揺れてきた。専用プロセッサーのシステムは特定用途では非常に高い性能を示すが、それ以外では動作しないか性能が低い。汎用プロセッサーから成るシステムは、適用できる計算分野が広い一方で演算性能は“平均点”でしかない。FPGAを活用することで、高性能と汎用性を、従来なかった高い水準で両立できるかもしれない。

■参考文献

1)進藤,「Microsoftの深層学習はFPGAで動く」,『日経エレクトロニクス』,2015年5月号,p.27.

2)進藤,「ビッグデータに切り込む第3のコンピューター」,同上,2014年11月10日号,pp.27─45.