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 「マス・カスタマイゼーションの本質は、製品の付加価値を高めること」。こう語るのはリコー新規事業開発本部新規事業推進センターAM事業室室長の大谷正樹氏だ。従来も顧客ニーズに対して個別最適化するオーダーメードの製品は存在したが、マス・カスタマイゼーションはそれを大量生産と同等のコストや期間で提供することを可能にする。その結果、幅広い顧客に対して付加価値の高い製品を提供できるようになる。

 大量生産を前提としたものづくりでは、メーカー側は個別の顧客ニーズを把握したとしても、代表的な仕様に絞り込むしかなかった。しかし、3Dプリンティングの登場によってこの前提が一変する。単品や極少量品を低コストかつ短期間で提供できるようになったからだ。

 例えば、名前や社名を1個ずつ変えた名刺入れ(図1)。この名刺入れの場合、3Dプリンターによる造形時間は約1時間ですむ*1。造形終了後に冷却したり余分な未硬化の材料を除去したりする作業は必要だが、名前や社名を変えたとしても1日と掛からずに完成させられる。しかも、造形エリアに複数個を配置すれば1個当たりの時間をさらに短くできる。

*1 粉末樹脂をレーザーによって溶融結合する方式の3Dプリンターで造形した。造形エリアには、名刺入れを開いた状態で配置。その際の積層方向の高さは約10mmである。

図1 マス・カスタマイゼーションの例
図1 マス・カスタマイゼーションの例
リコーが名刺入れを3Dプリンターで造形した。個人名など、フタの裏面部分などの形状を個別に変えられる。なお、この例ではヒンジ部分も一体造形しているため、組立工程も不要となる。
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 この名刺入れを試作したリコーは2014年、3Dプリンターの活用を支援するサービスを開始した*2。単に3Dデータを受け取って造形を請け負うだけでなく、同社が保有する3Dプリンティングの活用ノウハウや、3Dプリンティング以外の加工技術に基づく設計・製造のコンサルティングを含めて提供しているのが特徴だ。

*2 大きくは、造形サービスと生産プロセスの改善を支援するサービス、導入コンサルティング・サービスに分かれる。