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2030年のクルマは電動化や自動運転で大きく変わる。しかし、変革はそれだけではない。2020年代に実用化される材料の一世代先の材料が登場しているだろう。電池、モーター、インバーターといったパワートレーン、外装・内装のボディー、さらに希少資源を置き換える新材料の芽が生まれつつある。

 新しい材料がクルマに採用されるためには、民生用の電子機器以上に困難が待っている。その第一の理由が、使用量の多さである。1分足らずという非常に速いタクトタイムで大量生産するクルマにとって、少量しか供給できない材料はそもそも採用の俎(そ)上にも載らない。

 さらに、低コストへの要求も著しい。自動車が発明されてから車体用材料として今でも主流の鋼材の価格は100円/kg程度と極めて安価。この鋼材を差し置いて採用されるためには、その材料ならではの特性を研ぎ澄まさなくてはならない。信頼性を検証するための時間も必要だ。一度採用されれば、モデルチェンジするまでの5~7年間は造り続ける他、そのクルマが市場に出て廃棄されるまでの10年以上にわたる耐久性が求められる。

 こうした理由から材料の“世代交代”はそう簡単には進まない。現在、次世代のパワー半導体として話題になっているSiC(炭化ケイ素)も、本格的な採用は2020年頃の見込み。夢の材料として提案されたものの、実用化の音沙汰がないという例はいくつもある。

 ただし、これからのクルマの進化には大幅なスピードアップが求められている。燃費や電費といったエネルギー効率の向上の要求は待ったなし。2050年には内燃機関だけのクルマは限りなくゼロにすることが求められる。

 その手前の2030年においても、電動車両の割合は大きく高まることが予想される。より少ない電池、効率の高いインバーター、希少資源の使用量が少ないモーターなどが求められている。