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信号灯からプラットフォームまでつなぐ仕組み続々

 日経ものづくりが実施した調査からも、既存設備からデータを集めるのが工場IoT化の大きな課題であることが分かる*4。データ収集に当たって困難な点を聞いたところ、「既設の装置にデータ収集の機能がない」「データ収集のための設備投資コストが高い」「設備が古くて対応できない」を挙げた回答が多かった1)

*4 ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象にアンケート用URLを告知して2017年12月4~11日に実施。613の回答を得た。主な結果は、参考文献1)「『データ分析は必要』9割以上、既存設備からのデータ収集に難」に掲載

 では、既存工場をIoT化するには、古い装置を更新したり、大がかりなデータ収集の仕組みを導入したりしなくてはならないのか─。

 旭鉄工の事例で見たように必ずしもそんなことはない。古い設備・機械でも、最小限の改良や設備導入でIoT化することは可能だ。実際、そうしたニーズに対応した製品やサービスも充実してきている。前述の旭鉄工も、i Smart Technology社(本社愛知県碧南市、以下iSTC)を立ち上げ、自社での経験を基に中小メーカーを対象としたIoTシステムと改善コンサルティングを提供している*5

*5 iSTCの設立は2015年。2017年からサービス提供を始めた。ITシステムはCTモニターのものを流用している。具体的には、Red Hat社のコンテナ化技術「OpenShift」によって、RHEL以上の層をコンテナ化して管理。テンプレートの設定パラメーターだけを調整すれば、新たなクライアント向けのデータ処理システムを数十分で立ち上げられるという。

シリアル・インターフェースもつなげる

 シュナイダーエレクトリックも、既存設備のIoT化事業に力を入れる。「どんな機器でもつなげられるのが当社の強み」(インダストリー事業部営業企画部部長の林 哲士氏)。同社は、「Pro-Face」ブランドのプログラマブル表示器や、データ収集機器を提供しており、それらを介して古い設備からのデータ収集を実現する。

 例えば、古いシリアルなどのインターフェースしかない設備でも、プログラマブル表示器をシリアル接続している設備なら、表示器とPLCなどとの間に「Pro-face IoT Gateway」を設置すると、既存設備を一切改造せずにデータを取得できる(図4)*6。シリアルインターフェースすらない制御盤などには、「マルチ・データボックス」と呼ぶ製品を使う。ブザーやスイッチ、信号灯などの信号線につないで接点情報を取得する*7。10万円程度で安価にIoT化できることから需要があるという。

*6 IoT Gatewayを挟むと通信速度が多少犠牲になる。ただし、「古い設備の制御はもともと遅いのであまり影響ない」(林氏)。

*7 国内で8割以上の高いシェアを持つファナックのCNC制御装置向けに専用のマルチ・データボックスも提供する。ファナックの機器管理ソフト「MT-LINKi」に対応している。

図4 古い設備のIoT化への対応(シュナイダーエレクトリック)
図4 古い設備のIoT化への対応(シュナイダーエレクトリック)
プログラマブル表示器を接続している機器なら、その配線の間に「IoT Gateway」を入れて信号を横取りする(a)。外部へのインターフェースがない機器は、信号灯やスイッチ、表示ランプなどの配線に「マルチ・データボックス」を接続して信号を取り出す(b)。(出所:シュナイダーエレクトリック)
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 生産現場では「装置を買い換える余裕はないが、つながらない装置の状況が見たい。でも、大規模な改造はしたくない」という声が多いと林氏は話す。それに対して上述のような仕組みで対応。特に設備が多い工場ほど、一元的に監視したいとのニーズが強い。設備が多い故に、改造や更新なしでIoT化できるそうした機器の需要があるという。