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2016年6月1日、改正労働安全衛生法の施行により、一定の危険有害性のある化学物質についてのリスクアセスメントが義務化される。労働者の安全と健康の確保対策をより確実なものとするためだ。業種や事業規模にかかわらず、対象となる化学物質の製造や取り扱いをしている全ての事業者が対象になる。化学物質は少量といえども、取り扱い次第で負傷・疾病を招きかねない。発生の可能性とその重篤度を調査し、リスクを把握しておくことが求められる。

mevans/ゲッティ イメージズ
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 化学物質のずさんな管理による事故が後を絶たない──。事業場で使用される化学物質の種類が年々増加する中、化学物質(危険物質、有害物質)の不適切な管理が原因とされる労働災害が依然として減らず、その数は年間500件近くに上る(図1)。2015年には印刷会社での胆管ガン問題などが発覚し、化学物質による健康被害が問題となった。

図1 化学物質(危険物、有害物質など)に起因する労働災害(休業4日以上)
図1 化学物質(危険物、有害物質など)に起因する労働災害(休業4日以上)
2009年には419件まで減ったものの、その後再び増加し近年は500件弱/年で推移している。厚生労働省・労働基準局の資料を基に本誌が作成。
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 現在、労働現場で取り扱われている化学物質は約6万種近いといわれ、毎年約1200の化学物質の新規届け出がある(製造または輸入が100kg/年以上)。さらに年間の製造/輸入量が100kg以下の少量新規化学物質の届け出は、毎年約1万7000種におよぶ。こうした状況を受け、労働者の安全と健康確保に向けた対策を一層充実させ、労働災害を未然に防止しようと、近年、労働安全衛生法(以下、労安法)の一部が改正された(表1)。

表1 労働安全衛生法の主な改正点
表1 労働安全衛生法の主な改正点
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 その中の1つに化学物質のリスクを事前に察知して措置を施すリスクアセスメント(RA)の実施義務付けがある*1。具体的には、一定の危険性・有害性が確認されている化学物質について、[1]危険性または有害性の調査(RA)の実施、[2]譲渡提供時に容器などへのラベル表示が義務付けられた。

*1  2014年6月25日に交付された第57条の3第1項により、リスクアセスメントが義務化された。