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子どもによる医薬品の誤飲事故が増えている。ここ数年、国内での事故件数は少なくとも年間8000件以上にも上るとみられ、中には中毒症状で入院に至る例もある。高齢化社会を迎えて家庭で医薬品を使う機会が増える中、誤飲の危険性は一層高まっている。欧米では早くから誤飲対策が講じられているが、日本はようやく対策に向けた検討が始まったばかりだ。

 あまり知られていないが、子どもによる医薬品の誤飲事故は多い。保護者が不在であるときや、目を離した隙に子どもが勝手に開封して飲むといったケースだ。親がベッドサイドに置き忘れた錠剤を飲んだり、親が兄弟のキズの手当をしている隙に薬箱から取り出して飲んで入院したりといった例もある。保護者が気を付けているつもりでも、子どもが椅子を足場にして、手の届かない高さの保管棚においてあったパッケージ入り胃腸薬の錠剤を、噛み破って取り出して飲んだといった事例が報告されている。甘い味の水薬を多量に誤飲し、胃洗浄と点滴で2日間入院したといった事例もある。

 こうした状況を受けて、消費者庁の消費者安全調査委員会(以下、委員会)は、医薬品の中毒情報などを収集する日本中毒情報センター(以下、中毒情報センター)の集計結果などを基に、子どもによる医薬品の誤飲事故の状況と防止対策の検討内容などを調査した。同委員会が2015年12月に公表した調査報告書(以下、報告書)を基に、誤飲事故の実態と対応策についてみてみる1)