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事故の再発防止を徹底するためには、その原因究明が不可欠だ。2009年4月8日に東京都内で発生したエスカレーター事故に関する調査は、国土交通省だけでなく消費者庁も実施し、それぞれ異なる見解を示している。しかし、これらの調査報告書では触れられなかった視点での問題点が今回明らかになった。(本誌)

 2015年6月26日、消費者庁の消費者安全調査委員会が、東京都で2009年に発生したエレベーター事故の調査報告書(以下、消費者庁報告書)を公表した1)、*1。これは、国土交通省の社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会が実施した事故調査の結論を否定するものであった(別掲記事参照2、3)

*1 消費者安全調査委員会は、2012年10月3日に事故等原因調査等の申し出を受け、翌月の委員会で調査実施を決定。2013年6月21日には評価書を公表し、2015年6月26日に報告書を公表した。

 国土交通省の昇降機等事故調査部会は、「昇降機の構造、維持保全又は運行管理に起因した事故と判断する理由がなく調査報告書にまとめる対象ではないと判断」し、2012年4月に調査概要を公表。しかし昇降機等事故調査部会は、2012年10月に消費者安全調査委員会が独自の調査を開始したのを受け、同委員会に対してさらなる情報開示をするため、2014年10月に調査報告書(以下、国交省報告書)を公表していた4)

 しかし、いずれの報告書も事故の再発防止という観点からは、1つの重大な要素が抜けていた。本稿ではそれを指摘したい。