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【専門家が解説】
趣味で飛ばすにも建物検査で用いるにも
空港近くや人口集中地区では許可申請が必要に
小林正啓 花水木法律事務所 弁護士
こばやし・まさひろ:1962年8月生まれ。東北大学法学部卒業。1992年弁護士登録後、2000年に花水木法律事務所を設立。一般民事事件の傍ら,人型ロボットの安全性問題などにも取り組む。経済産業省の次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会委員も務めた。
こばやし・まさひろ:1962年8月生まれ。東北大学法学部卒業。1992年弁護士登録後、2000年に花水木法律事務所を設立。一般民事事件の傍ら,人型ロボットの安全性問題などにも取り組む。経済産業省の次世代ロボット安全性確保ガイドライン検討委員会委員も務めた。

 改正航空法ではドローンに対して次の3段階の規制を実施する。第1は規制対象となるドローンの種類に関するもので、省令が定める重量未満のものは規制対象外となる。第2は飛行禁止範囲で、その範囲設定を省令に委ねるとともに、飛行禁止範囲を飛行するには国土交通大臣の許可が必要とされている。第3は許される飛行方法で、これに反して飛行する場合には国土交通大臣の事前承認が必要だ。

 この3段階の規制に関する省令の内容は、次の通りである。第1の規制対象となるドローンから外れるものについて、省令では重量200g未満と定める。言い換えれば重量200g以上、すなわち玩具を含めた大半のドローンが規制対象になる。

 第2の飛行禁止範囲については、空港周辺の他、国勢調査の結果による人口集中地区の上空と定められた。それ以外の地域でも有人航空機とのすみ分けのため、最高高度が地上または水面上150mまでとなる。人口集中地区は総務省統計局のWebサイトで確認できるが、東京23区や大阪府の大半の地域の他、主要都市は全て含まれることになる。これらの地域では、近所の河川敷でドローンを飛ばす場合でも許可が必要となる。学校など私有地の敷地上空でドローンを飛行させる際にも、施設管理者の許可だけでなく、国土交通大臣の許可が必要だ。

 第3の飛行方法に関しては「地上又は水上の人又は物件との間に保つべき距離」が30mと定められた。この「物件」には自動車や鉄道車両、建物、橋梁、船舶の他、鉄塔や電柱などが含まれる。また、「距離」はドローン周囲の上下左右に及ぶので、建物や工場、橋梁の外壁検査のためにドローンを使用する場合、所有者の同意を得ていても30m以内に近づく際には、国土交通大臣の承認が別途必要となる。農薬散布や種まきなどを行う場合も承認が必要だ。

フェールセーフ機構の装備も必要に

 国土交通大臣の許可・承認申請を行うには、原則として飛行の10開庁日前までに定められた様式に基づき、およそ40項目を記載した書面を提出する必要がある。さらに、申請者は飛行時に許可書などを携行しなければならない。

 国土交通大臣は許可・承認するに当たって条件を付することができるが、注視すべき点は重量による区分だ。特に、最大離陸重量が25kg以上の場合にはフライトレコーダーや通信装置の搭載の他、エンジンの停止時や電源の喪失時などに備えてフェールセーフ機構を装備する必要がある。さらに、第三者の上空を飛行する場合、最大離陸重量が25kg未満でも、許可基準の例として電源システムの二重化やパラシュートの装備などが挙げられている。この他、操縦者には10時間以上の飛行経験や航空法関係法令に関する知識、基本的な操縦技量が必要とされるとともに、酒気帯び飛行などが禁止される。整備記録や飛行記録の作成も義務付けられている。

 最高飛行高度や重量級ドローンに対する規制は妥当なものといえるが、全体としては今後のドローン産業の成長を阻害しかねない厳しい規制である。特に子どもや若者が趣味でドローンを飛ばすことが、事実上かなり難しくなった。となれば、ドローンに対する強い興味や開発意欲、卓越した操縦技術を持つ若者も育ちにくくなり、ドローン産業の成長もおぼつかなくなることが懸念される。