【動向】「パズルのピースはそろった」、日本電産のEmerson買収
「パズル(の空き)は埋まった」。日本電産 会長兼社長の永守重信氏は、米Emerson Electric社からの事業買収の記者発表会でこう語った。日本電産は2016年8月2日に、Emerson Electric社から、モーターやその制御機器、発電機の事業を買収すると発表した。

買収した事業はEmerson Electric社傘下の複数の企業が担っており、その中でもフランスに本社を置くLeroy-Somer Holding(LS)社の売り上げと従業員数が大きい。
日本電産によると、買収前の同社の産業用モーターや発電機の事業で、カバーできていない地域(欧州や米国)や、製品(低圧のモーターなど)があったという。LS社を得たことにより、日本電産は上述のカバーできていなかった地域と製品を手中にする。今回の買収は、同社がこれまで手掛けた中で、最大規模の買収となる。「産業機器は実績がものをいう世界。長年の実績を持つ、LS社などの販路を利用できることは大きい」(同氏)。
今後について、永守氏は「LS社については、ヨーロッパの事業に関して、外部から人材を招いて経営を任せたい」と語る。加えて、「今年はあと数社を買収したい」(同氏)と話した。
【技術】新型「インプレッサ」、歩行者頭部保護エアバッグ搭載
富士重工業が2016年秋に発売する新型「インプレッサ」は、歩行者頭部保護エアバッグを標準搭載する。同エアバッグの搭載は海外でもスウェーデンVolvo社などに限られており、国内メーカーとしては初めて。コストを抑えることで量産車への搭載を可能とした。

歩行者頭部保護エアバッグは、歩行者と車両が衝突したときに歩行者の頭部への衝撃を抑えるシステム。富士重工が採用したのは、フロントバンパー内部に空気が通ったチューブを配置し、センサーで気圧の変化を検知して衝突を判断する。チューブ内の空気圧は温度で変化するため、電子制御ユニット(ECU)では温度センサーの情報と合わせて気圧の変化を検知する。
衝突を検知すると、ECUでワイパー下部周辺に配置したインフレーターを発火させる。折りたたんだ布がワイパーとフロントフードのすき間から飛び出す。エアバッグがワイパー部と左右のフロントピラーの付け根付近を覆う。
Volvo社の歩行者頭部保護エアバッグは、フードを固定する左右のヒンジ部をインフレーターで解除してフードを持ち上げてからエアバッグを出すのに対して、富士重工のシステムはフードを持ち上げないため、コストを抑えられる。