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【動向】「海外生産が安い」はもう古い、エプソンの国内回帰戦略

 「2013年以降、労働集約型の海外工場に比べて、自動化設備を積極的に導入した国内工場の方が労務費の面で安く抑えられている」。セイコーエプソン取締役機器要素技術開発本部本部長の奥村資紀氏が、東北エプソンのプリントヘッド工場の報道機関向けの説明会の中でそんな衝撃的な事実を公表した。

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 「2012年までは、国内と海外の製品内労務費の差が10倍以上あった。2013年に国内の生産設備の自動化を進め、生産性を10.5倍に向上させた」(同氏)。セル間のワークの搬送などもロボットに置き換える徹底ぶりだ。

 国内の人件費の上昇率は2~3%。一方、海外での人件費の上昇率は年間10~15%ある。この結果、同社は2020年には国内と海外の製品内労務費の差が3.5倍に縮まると見積もる。自動化された国内工場の労務コストはほぼ横ばいなので、国内工場の方が、コスト競争力で大幅に上回ることになる。加えて、労働争議の頻発や離職率の高さなど海外での経営リスクが排除できるといったメリットもあるとしている。

【技術】絆創膏のように貼って使える「フレキシブル体温計」

 ぐにゃりと曲がり、絆創膏のように皮膚に貼って使える──。印刷プロセスで作れるそんな“フレキシブル体温計”を、東京大学大学院 工学系研究科 特任助教の横田知之氏と同教授の染谷隆夫氏らのグループが開発した。薄くしなやかな樹脂製の温度計を印刷プロセスで作製し、生体組織に貼り付けて表面の温度分布を測定することに成功。赤ちゃんの体温をモニタリングするといった、ヘルスケアや医療、福祉分野などへの応用を想定している。

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 同体温計は、フィルム基板上に印刷プロセスで作製したもので、厚さは約15μmと薄く、しなやかに曲がる。測定感度は0.02℃と高く、応答速度も100msと高速だ。2000回近く測定を繰り返しても再現性が失われないことも確認済み。電源回路や読み出し回路は集積していないが、研究グループがこれまで培ってきた技術を使えば原理的に可能という。今後、さらに薄くしたり、繰り返し可能回数を高めたりして、3年以内をメドに実用化する考えだ。

 フレキシブルな温度センサーを実現するための材料としては、温度上昇に伴って電気抵抗が増加する「ポリマーPTC」が注目されている。今回はポリマーPTCを合成する際に、2種類のモノマーの混合比を変化させるという方法で、応答温度を体温付近に調整できるようにした。