PR

レンズをセンサーに合わせ最適化

 感度とダイナミックレンジを改善できたのは、画素の大型化に加え、(1)同社の光学技術と、(2)静岡大学のセンサー・回路技術を採用したためだ。

 (1)光学技術では、取り込んだ光が、漏れなくセンサーの撮像面に照射するよう、センサー表面のマイクロレンズと、通常の光学レンズを一体的に最適設計している。さらにコーティングによって従来よりも大幅に低反射にしたレンズも応用によっては使う。反射で存在しないものが映る「ゴースト」が生じにくく、自動運転向け認識精度も高めやすい。

 (2)センサー・回路技術では、センサー信号を読み出すA-D変換器の分解能を一般的な12ビットより高い18〜19ビットにする。静岡大学の川人祥二氏(電子工学研究所 教授)が開発に取り組む高分解能化と高速化を両立しやすい「サイクリック型」を、同氏が開発しているイメージセンサー技術とともに採用する。

 製品化に当たっては、顧客の要望にも柔軟に応えていく。最初の製品は、既に潜在顧客との話し合いを進めているセキュリティー分野になると同社は期待する。医療分野では内視鏡、産業分野ではドローンやウエアラブル機器などへの搭載を見込む。車載向けでは2021〜2022年ごろの市場投入を目指す。140dBのダイナミックレンジによって夜間にヘッドライトが照らされても車室内の乗員の顔を撮像可能にする。