今回、撮像素子表面に周期的な構造を設けて、量子効率を高めた(図1)。入射した光が撮像素子内部を通過する光路が長いほど、量子効率は高まる。撮像素子を厚くすればその分、光路が長くなるものの、素子が厚くなってしまう。そこで、撮像素子表面に周期的な凹凸を設けて入射光を回折させ、光路を長くした注2)。ただし、入射光を回折させると、隣接する画素に光が入り、撮影した画像の解像度が低下する。この現象を抑えるために、近赤外光を反射させるトレンチ構造(DTI)を設けた。
注2)開発品の凹凸構造の周期は400nm。セルサイズは、虹彩認証用の従来製品と同じ1.12µmで、画素数は約200万である。
開発品では、凹凸構造を作りやすいSiの(111)面を利用。ただし、同面は一般的な(100)面に比べて界面順位が高くなり、ノイズとなる暗電流が大きくなる。そこで、ある表面処理を施して界面順位を下げることで、暗電流を(100)面並みに抑えた。