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 「イメージセンサーでは、車載、監視用など、ポスト・スマートフォン(スマホ)の用途を取りに行く」。2016年後半、ソニーで技術開発を統括する執行役副社長の鈴木智行氏にインタビューした際に、特に印象に残っていたのがこの発言です。鈴木氏は、1980年代半ば以降、一貫してイメージセンサーの開発に携わり、今や世界シェア・トップであるソニーのイメージセンサー事業を先頭に立って推進した、ミスター・イメージセンサーとも言える人物です。同氏の発言は、ほぼスマホ向けの一本足打法だったソニーの同事業が大きく変貌する予兆を示していたことになります。

 その姿は2017年に入って、実像を表しました。2017年第1四半期にソニーは、監視カメラやドローン、産業用ロボットといった非民生機器向けのイメージセンサーを手掛ける事業部を新たに発足させました。この事業部で開発するのは、スマホ向けとは大きく異なるイメージセンサーです。撮像素子でありながら、距離や偏光、特徴量などを取得できる、これまでの製品とは一線を画すものばかりです。

 これには明確な理由があります。スマホ向けのイメージセンサーは、人が見たままの画像を撮影するといった、人間の眼を超えることを目標に進化してきました。しかし、監視カメラや車載カメラなどの用途で求められるのは、撮影シーンや周囲の状況までを瞬時に把握できる技術、すなわち知性を備えたカメラです。これから自動運転やIoT全盛の時代を迎えるに当たり、非民生用途のカメラ市場が急成長する方向が見えてきました。こうした流れを受け、国内外で激しい開発競争が始まっています。本号の特集「すべてを見通すカメラ」では、ここにきて始まった、カメラの知能化に向けた最先端の技術動向をまとめました(Breakthrough「すべてを見通すカメラ」)。

 もう1つ、今号で是非お読みいただきたいのが、特集「誰でもAI、ソフトでお助け」です(Breakthrough「誰でもAI、ソフトでお助け」)。人工知能(AI)を活用した製品を作りやすくするためのソフト環境が整ってきました。ベンチャー企業や大手IT企業が、エッジやクラウドで活用できるソフト基盤を相次いで発表しているのです。これらを活用することで、深層学習などのさまざまな手法を手軽に活用できるようになります。弊誌では2016年4月号で、特集「誰でもIoT、クラウドがお膳立て」という記事をお届けしました。IoTシステムを簡単に構築できることを狙ったサービスがIT企業などから登場しているという記事でしたが、そのAI版とも言える動きが今起こっています。