
今号では、創刊45周年記念特別企画の第3弾として、「読者が考えた5年後の特集」という記事をお届けします。この企画に先立って、日経エレクトロニクス(NE)の45年の歴史の中でもおそらく初めてとなるであろう、「オープンな場での企画会議」を開催しました。「NE未来会議」と題したその企画会議には、弊誌の読者を含む10名超の有識者の方々にご参加いただき、5年後のNEの特集タイトル案を徹底的に議論しました。結果は、「目から鱗」でした。斬新なアイデアが次々に生まれたのです。
我々、日経エレクトロニクスでは、週に1度、全ての記者が集まって、記事の企画提案や、近々の特集のストーリーなどについて議論する「編集会議」と呼ぶ場を設けています。この編集会議に私も長らく参加してきましたが、鋭い指摘は、往々にして、狭い専門分野をひたすら掘り下げることが得意な記者よりも、幅広い分野で記事の執筆経験がある、視野が広い記者から飛び出すことが多いのです。
今回のNE未来会議でもまさに同じことが起こりました。ご参加いただいたのは、弊誌の論文にご寄稿いただいたこともあるバリバリの技術者の方から、半導体メーカー幹部の方、エレクトロニクス産業に積極的に投資しておられる投資家の方など、多種多様なバックグラウンドを持つ、強者ぞろい。こうした方々が膝を突き合わせて真剣に議論すると、どのような化学反応が生まれるか、まざまざと思い知らされました(記事)。
さらに、今号の特集記事では、ディスプレーの未来に焦点を当てた「空間に飛び出すディスプレー」を掲載しました。1890年代に発明された映像再生装置は、その後、ブラウン管、フラットパネルディスプレー(FPD)と方式を替えてきましたが、一貫して平面内で進化してきました。いよいよ、この呪縛が取り払われようとしています。ディスプレーは2次元平面から3次元空間に拡張され、物体や人などの立体像を空中投影する時代が始まります。これまでは大学や公的研究機関が研究開発を進めてきましたが、ここにきてディスプレーメーカーが本気で開発に乗り出しました。現状での取り組みや実現に向けた課題などを整理しました(記事)。