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 実に51.3%。10月号の特集記事で紹介しきれなかったアンケート結果があります。「今後のイノベーションの担い手として有望なものを、1位~3位まで選んでください」。この設問に対して半数以上の回答者が「欧米のベンチャー企業」を1位に挙げました。

 中でもシリコンバレーが新潮流の源泉であることは、衆目の一致するところです。今号の特集は彼の地で聞いた将来の技術や産業(記事)。さしずめ前号で読者に尋ねた質問の「答え合わせ」とでも言えるでしょうか。蓋を開ければ概ね正解でした。未来の方角は太平洋の向こう側でも変わらないようです。

 目標は同じでも、先の設問で「国内の大企業」を支持した回答者は9.7%、「国内のベンチャー企業」も6.9%留まり。大差の理由を考えて、行き着いたキーワードが「ネットワーク」です。シリコンバレーのベンチャーは地域に張り巡らされた人的ネットワークを駆使して必要な技術や人材、資金を調達し開発を加速するようです。日本では企業や組織の壁が、こうした交流を阻害します。件のアンケートで「日本企業の成長を阻む要因」の第1位は、4割強が挙げた「オープンイノベーションに向かない企業風土」でした。

 ネットワークの効果を利用して市場を拡大するのも先方はお手の物。UberやAirbnbといったサービスは、一般人の自動車や部屋を、ネットワークで利用者とつなぐことで人気を博しました。いずれも参加者が増えるほど利便性も増す、ネットワークならではの好循環を享受しています。米Apple社が築いた製品のエコシステムもそうですが、米国企業は他者を巻き込んで市場を広げるのが上手です。対する日本企業を、「自社製品を中心としたエコシステムづくり」が「強い」と評したアンケート回答者は7.4%だけでした。

 ネットワークの特性を生かした新サービスを立ち上げるには、最初にある程度まで利用者数を増やさなければなりません。今号の解説(記事)や論文(記事)が提唱する新たなエネルギーや通信のネットワークは、この難題に直面しています。ハードルを乗り越える近道は、記事が指摘するように、インフラが未整備な新興国など、まっさらな状態から始めることでしょう。

 東芝の不祥事など、日本の電子業界を支えてきた大企業の負の側面が依然として目に付きます。一方で、新産業の担い手を自認する国内ベンチャー企業同士の連携が始まりました(記事)。未来を託すならどちらでしょうか。