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 「人工知能(AI)を用いることで、愛着を持って一緒に過ごしてもらえるクルマを作りたい」。本田技術研究所社長の松本宜之氏は、“相棒”とも表現できる次世代のクルマの構想を語った。それを実現するために、ホンダが選んだ開発パートナーがソフトバンクである。両社は2016年7月、AIの研究開発で手を組んだ。クルマが運転者の感情を推定し、自らも感情を持つシステムを目指す。

 共同研究では、会話音声や自動車のセンサー、カメラなどの情報を活用することで、自動車が運転者の感情を推定すると共に、自らが感情をもって対話するようにする。ソフトバンクグループが開発したAI技術「感情エンジン」を用いる。人型ロボット「Pepper」に搭載しているものを改良する。

 AIが運転者の感情を読み取って、話しかけたり好みの音楽を流してくれたりするという。使い続けることで好みや癖なども把握し、駐車位置や観光スポット、服装までをアドバイスすることも想定する。既に初期の共同開発システムを試作済みだ。

 ソフトバンクグループ社長の孫正義氏の言葉を借りれば、「ホンダのクルマに愛が入る」ということになる。自動車業界を見渡すと、残念ながら「愛」を語れる状況にはない。ドイツVolkswagen社から三菱自動車、スズキへと連鎖した不正問題。ユーザーから目を背けている状況が表面化した。

 「技術は人に奉仕する手段の一つ。その技術によって人に喜んでもらえるということこそ、本当の技術です」──。かつて、技術者にこう語りかけたのはホンダ創業者の本田宗一郎氏だった。そして今、ホンダはクルマと人の新しい関係性を描き始めた。存在が薄れがちな“愛車”への取り組みが、クルマの未来の鍵を握るかもしれない。