編集部:良しあしは別として、最近は「プレイングマネージャー」と呼ぶべき管理者が日本企業で増えています。管理者といえども実務まで手掛けなければ職場が回らないという現実があるのでしょう。そうした厳しい状態にある職場で若手社員の教育に手を焼く。管理者の苦労がしのばれます。
肌附氏-トヨタ自動車の若手社員でも、以前と比べると教育に時間がかかるようになったという話を最近、管理者から聞きました。それでも、「粘り強く教育していくしかない。それがトヨタ自動車の伝統だから」とも語っていました。以前も述べましたが、かつての自分の常識を、管理者が現在の若手社員に押し付けても問題は解決しません。時には、若手社員の目線に合わせることも大切です。
編集部:では、相談者の悩みにある、「ホウ」「レン」「ソウ」、すなわち報告・連絡・相談ができない若い部下にはどうしたらよいでしょうか。
肌附氏-そうした部下は、ホウ・レン・ソウの意味をきちんと理解しておらず軽視しています。いちいち上司に知らせたり、上司と話し合ったりする暇があったら、実際に現場で手や足を動かして仕事を先に進めたいと考えているのでしょう。
社会人の基本がなってないと思う人もいると思いますが、これは会社の社員教育にも責任があると思います。多くの日本企業は新入社員教育の際にホウ・レン・ソウについて教えると思います。しかし、ホウは報告、レンは連絡、ソウは相談のことだと教えるものの、その「本質」や「心」といったものに踏み込んで新入社員に教えていないからです。
編集部:確かに、私が新入社員だった時も、講師からホウ・レン・ソウの意味の解説を受けた後、仕事で実行しましょうと教えられただけだと記憶しています。