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書籍「知財戦略のススメ」を発行しました

知財を切り口に日本企業の採るべき戦略を示す

著者:鮫島正洋、小林 誠<br>定価:2400円+税<br>発行:日経BP社<br>判型:A5判、248ページ<br>ISBN:978-4-8222-9580-6
著者:鮫島正洋、小林 誠
定価:2400円+税
発行:日経BP社
判型:A5判、248ページ
ISBN:978-4-8222-9580-6
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 2016年2月9日発売の新刊「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」(以下、本書)が編集部に納本された同月4日、「シャープ再建、鴻海軸に」(日経新聞夕刊)というニュースが報じられました。シャープの行く末が気になるのはもちろんですが、本書の担当編集者としては、経営危機に陥った要因とその回避方法について、しばし思いを馳(は)せずにはいられませんでした。

 シャープの経営危機の要因として真っ先に挙げられるのが液晶パネル事業の不振です。技術力はあるのに市場占有率(シェア)を維持できず、多額な投資が仇になってしまう──。液晶パネルということではシャープ1社の問題と捉えることもできますが、技術立国という観点では、そうではありません。本書の冒頭で述べられているように、液晶パネルのように日本企業が技術開発をリードして世界市場を占有していたにもかかわらず、10年足らずという短期間で急激にシェアを失った製品は他にもあります。よく知られている製品としては、DRAM、DVDプレーヤー、リチウムイオン電池、カーナビゲーション・システムなどが思い浮かぶでしょう。

 本書は、「技術で勝る、あるいは勝っていた日本企業が、世界市場でなぜ勝てないのか」という疑問を、知的財産という切り口で解き明かしながら、日本企業が今後採るべき戦略を示しています。それだけに亀山ブランドの液晶テレビで一世を風靡したシャープの今後が気になるわけです。

 本書では、満了特許だけを使って製造できる製品のスペックが、多くのユーザーの要求するスペックに達してしまう現象を「技術のコモディティ化」と呼び、これこそが、先行者の技術面・シェア面での優位性が失効する要因としています。この技術のコモディティ化をいかに防ぐか、言い換えれば知財ステージに応じた適切な事業・知財戦略こそが打開策になるとした上で、興味深い数々の具体例に基づいて解説しています。例えば、スマートフォンなどの知財を集める米Google社、燃料電池車関連の特許を無償開放したトヨタ自動車、し烈な特許侵害訴訟を繰り広げた日亜化学工業と豊田合成、NECから買い取った特許を武器に米国市場で訴訟を仕掛けた台湾鴻海精密工業などの戦略を示しながら、ビジネス成果という見地からの意義を分析しています。

 本書の著者は『下町ロケット』に登場する神谷弁護士のモデルとなった技術系弁護士と、知財会計コンサルタントの2人。技術と経済の両面からビジネスで勝つための知財戦略の重要性と具体的な戦術を説明します。こう書くと知財の専門家である弁理士・弁護士向けの書籍と思われるかもしれません。もちろん専門家にも面白く読んでいただけますが、ビジネス成果を直接問われるマネジメント層にもぜひ読んでいただけたらと思います。下町ロケットで繰り広げられたように、自社特許の技術的・経済的価値をきちんと把握していなければ、競合企業との厳しい戦いを勝ち残れないからです。本書で述べられている知財のセオリー・活用法は、知財関連部門はもとより、技術を拠り所にする企業のマネジメント層にとっても、多いに参考になると思います。(日経BP社出版局 田島 篤)