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書籍「pepper分解図鑑」を発刊しました

発掘しているかのように設計思想が垣間見える

 発表当初、「19万8000円(税別)」という低価格で世間をアッと驚かせた人型ロボット「Pepper」。“家庭用ロボットの価格破壊”とも言われましたが、別途月々の利用料や保険料が最低3年分必要となるため、実質的な価格は109万3400円(税込み118万872円)と、なかなか高額です。

日経テクノロジーオンライン/日経エレクトロニクス/日経Robotics編<br>定価:2万5000円+税<br>発行:日経BP社<br>判型:A4変型判、100ページ<br>ISBN:978-4-8222-3712-7
日経テクノロジーオンライン/日経エレクトロニクス/日経Robotics編
定価:2万5000円+税
発行:日経BP社
判型:A4変型判、100ページ
ISBN:978-4-8222-3712-7
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 日経テクノロジーオンラインと日経エレクトロニクス、日経RoboticsではPepperをいち早く入手し、分解記事や特集記事を掲載してきました。また、イベントの展示では、多くの技術者の方々が分解されたPepperに、熱心に見入っていました。そして「分解した部品やその構造をもっと知りたい」という声も数多く寄せられたため、発刊することになったのが本書です。

 発刊に当たって、主要な機能に関しては一通り分解されていたPepperを見直し、さらに掘り下げました。例えば、関連資料には「胸部と脚部にある」としか記載されていなかったジャイロ・センサー。いまや小型化が進み、ぱっと見ただけではほかの部品と区別がつきません。そこで、全ての基板に実装されている半導体部品を片っ端から調べて探しました。結局、“全ての基板”と思っていた基板とは別に、胸部の構造部品に背面側から差し込む手法と、脚部の車輪のモーター駆動回路基板に重ねる手法を駆使し、いずれも基板を水平に保った状態でこのジャイロ・センサーを実装している基板があることが明らかになりました。

 さらに、パッケージ表面に刻印された型番から、「iPhone 4s」などのスマートフォンにも多く搭載されていた3軸ジャイロ・センサーと3軸加速度センサーの組み合わせを採用したようだということも分かりました。こうした部品からも、Pepperの設計思想が垣間見え、編集を担当した私もまるで発掘をしているかのようなワクワク感がありました。

 Pepperが一般発売されたのは2015年6月。それ以来、毎月末に1000台ずつ販売を受け付けています。販売元のソフトバンク ロボティクスは2015年12月末まで、7カ月連続で「1分完売」と発表しています。

SEMICON Japan 2015(2015年12月16~18日、東京ビッグサイト)の「WORLD OF IOT」のデモンストレーションエリアでは、Pepperが踊りなどを披露し、注目を集めていた。
SEMICON Japan 2015(2015年12月16~18日、東京ビッグサイト)の「WORLD OF IOT」のデモンストレーションエリアでは、Pepperが踊りなどを披露し、注目を集めていた。
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 加えて、2015年12月には法人向けモデルの予約を再開しました。呼び込みやクーポン発行、受付・案内業務や外国語対応、さらには介護施設での体操披露や問診など、接客業務をこなすとのことです。最大の特徴、つまり人間との大きな違いは、接客人数だけでなく性別や年齢といった属性、感情を推定し、顧客データを瞬時に収集、見える化できる点でしょう。しかも最低のランニング・コストは月額5万5000円(税別、3年契約)。週5日、8時間労働と仮定すると、時給約344円となり、アルバイトの人件費に比べてもなかなか魅力的です。

 発売から半年を経ても好調な売れ行きのPepper。人型ロボット普及の第1歩となることは間違いありません。そのハードウエアの詳細を、本書にてご覧いただければ幸いです。(宇野麻由子)