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 経営コンサルティング会社の米Boston Consulting Group(BCG)社は2018年2月、電動化や自動運転化、サービス化が進む自動車業界の構造変化について説明した(図1)。

図1 BCG社が2035年の自動車業界を予測
図1 BCG社が2035年の自動車業界を予測
(a)自動車セクターでアジア・パシフィック地区のリーダーを務める古宮聡氏。全体概要について説明した。(b)産業財・自動車グループのコアメンバーでドイツ・シュツットガルト・オフィスのプリンシパルを務めるThomas Palme氏。利益構造の変化などについて説明した。(c)産業財・自動車グループ、オペレーショングループのコアメンバーである富永和利氏。ピラミッド構造の変化などについて説明した。本誌が撮影。
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 世界の新車販売台数は、2017年の9100万台から2025年に1億400万台に伸びるものの、2035年には1億800万台と伸び悩む見通しである(図2)。特に2025年以降は自動運転車やシェアリングサービスの台頭によって、個人所有の新車販売が減少し、その分をシェアリング用自動車(フリート)の伸びが支える構図になる。

図2 世界の新車販売台数予測
図2 世界の新車販売台数予測
2017年の9100万台から2025年に1億400万台に伸びるものの、2035年には1億800万台と伸び悩むと予測した。BCG社の資料を基に本誌が作成。
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 世界の新車販売台数(乗用車)に占める電気自動車(EV)の比率は2017年の1%から2025年に6%、2030年に14%、2035年に30%まで増えると予測した(図3)。予測の前提となる電池コストは、2017年から2030年にかけて年平均5%で下がると見ている()。これは主に量産規模の拡大によるスケールメリットと、電池のエネルギー密度の向上による。なお、電池で懸念されている希少資源の問題は「2035年までは大きな制約にはならない」(同社)との見通しを示した。

図3 EVや自動運転車、クルマのシェアリングサービスが台頭
図3 EVや自動運転車、クルマのシェアリングサービスが台頭
(a)EVの比率が急増し、2035年には30%に達する。(b)レベル4、5の自動運転車の比率が増える。(c)クルマのシェアリングサービスが広がる。BCG社の資料を基に本誌が作成。
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表 EVや自動運転に関する三つのシナリオ
保守的なシナリオや急進的なシナリオも考えられるが、現実的なシナリオを想定すると、電池コストは年平均5%減で推移する。BCG社の資料を基に本誌が作成。
表 EVや自動運転に関する三つのシナリオ
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 一方、プラグインハイブリッド車(PHEV)の比率は2017年の1%から2025年に2%、2030年および2035年に6%と伸び悩む見通し。これは電池コストの低減によりEVのランニングコストを含む総合的なコストが安くなり、「内燃機関を搭載するPHEVの位置付けが中途半端になるため」(同社)とする。なお、ハイブリッド車(HEV)およびマイルドHEVの比率は2017年の3%から2025年に16%、2030年に28%、2035年に37%に増えるという。

 世界の新車販売台数(乗用車)に占めるレベル4、5の自動運転車の比率は、自家用車では2025年の1%から2030年に6%、2035年に12%に増えると予測した。一方、フリートでは2025年の2%から2030年に5%、2035年に11%に増えると見る。また、世界中の個人が乗用車で移動する距離に占めるシェアリングサービス(カーシェアリング、ライドシェア、自動運転タクシーなど)の比率は、2017年の3%から2025年に4%、2030年に9%、2035年に18%に増える。