PR

 トヨタ自動車は、2015年12月に発売した新型「プリウス」から、ハイブリッドシステムの制御ソフト開発プロセスを全面的に刷新したことを明らかにした。2016年6月にdSPACE Japanが都内で開催した「USER CONFERENCE 2016」で同社HVシステム制御開発部部長の阿部眞一氏が講演し、明らかにした。

 新型プリウスではJC08モード燃費を従来型の32.4km/Lから40.8km/Lへと改善(最も燃費の優れたグレード同士の比較)するために、より高度な制御が求められた。加えて、バッテリーがニッケル水素電池とリチウムイオン電池の2種類に増えたことや、初めて4輪駆動仕様車を設定するなど制御に対する要求が多様になったことから、制御ソフトを全面的に刷新した。

 併せて開発プロセスにも全面的にMBD(モデルベース開発)を取り入れた。ドイツdSPACE社の自動コード生成ツール「TargetLink」、ドイツBTC Embedded Systems社のソフト検証ツール「EmbeddedTester」や形式検証ツール(後述)「EmbeddedValidator」、米PTC社の構成管理ツール「Integrity」などを採用して、開発プロセスの効率化を図っているのも特徴だ。

 制御ソフトそのものも、品質を確保しつつ新機能を迅速に追加できるようにするため、処理を集約する、モード選択の組み合わせ数を減らすなどにより、ソフトの構造を簡略化した(図1)。ソフトの複雑度は従来に比べて半減したという。また、従来はソフトの一部の開発をサプライヤーに委託していたが、今回は制御設計をした後に、自動コード生成ツールやソフト検証ツールを活用し、全て内製化することで、仕様設計から評価まで、社内で一貫して開発できる体制を整えた(図2)。

図1 ソフトの構造を単純化した
図1 ソフトの構造を単純化した
新型プリウスのハイブリッドシステム制御ソフトでは、ソフトの構造を単純化し、複雑度を従来よりも半減した。MGはモータージェネレーター、IGはイグニッションの意味。トヨタ自動車の資料を基に本誌が作成。
[画像のクリックで拡大表示]
図2 新しい開発プロセスではソフト開発を内製化した
図2 新しい開発プロセスではソフト開発を内製化した
従来の制御ソフト開発プロセスでは一部をサプライヤーに外注していたが、新プロセスでは全て内製化した。トヨタ自動車の資料を基に本誌が作成。
[画像のクリックで拡大表示]