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 欠陥エアバッグ問題で経営が悪化したタカタが民事再生法の適用を申請してまもなく3カ月。製造業で戦後最大の経営破綻にもかかわらず、国内取引先の連鎖倒産は発生していない。もっとも、影響を最小限に抑えたと見るのは早い。「事故リスク」を消せない問題が根深く残っている。

異例の改修率の低さ

 国土交通省によると、2017年7月時点でタカタ製エアバッグに関するリコール(回収・無償修理)の対象となったクルマは、国内市場だけで約1880万台以上に上る*1。2009年以降に延べ134件のリコールが実施されており、このうち、部品交換が済んでいるのは2017年7月末時点で78.1%(図1)。「通常、改修率はリコールを出してから3年程度で100%近くになる」(国交省)というから、改修率が8割に満たない状況は異例といえる。

*1 国土交通省によると2008年以降、米国では累計4200万台以上、全世界では累計8100万台以上がリコール対象になっているという。
図1 2017年7月末での国内のリコール改修状況と改修促進策の対象
図1 2017年7月末での国内のリコール改修状況と改修促進策の対象
2017年6月までに届け出されたリコール対象車の改修率は、2017年7月末時点で8割に満たない(原因が特定されたリコールと予防的リコールの合計)。国土交通省は未改修車のうち、危険性が高い約170万台について、未改修のままでは車検の有効期間を更新しないというリコール改修促進策を実施する方針だ。
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