第5世代移動通信「5G」の開発が急速に進んでいる。スマートフォンなどの携帯端末に加えて、自動車に使うことを見据える。現行世代の「LTE」に比べて高速に大容量のデータを送れる上、遅延時間が1ms以下と短い。日本では2020年に実用化する見込みだ。
「中核技術の検証は終えた」―。5Gの開発に熱心なNTTドコモは、2016年11月に進捗を発表した。同社で5Gの開発を率いる5G推進室室長の中村武宏氏は、技術の検証が順調に進んでいると胸を張る。
日本で5Gの導入は、まずスマホなどの携帯端末から2020年に始まる予定だ(図1)。同年に開催する「東京オリンピック・パラリンピック」で実用化することを目標にする。その数年後に自動車への採用が始まるだろう。
現在、自動車に使うことを目指した実証実験が活発になっている。例えば車両の移動中に大容量で高精細の映像データを伝送する用途や、遅延時間が短い利点を生かして安全技術に使うことなどを想定する。いまだ普及しない車車間通信の起爆剤としての期待もある。