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 2015年11月末~12月上旬にかけてフランス・パリで開催された「第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)」(図1)。2020年以降の地球温暖化対策の新しい枠組みである「パリ協定」を採択した(図2)。世界のエネルギー政策に関係し、長期的に見て自動車業界への影響は大きい。

図1 12月7日に開催されたCOP21閣僚級会合の様子
図1 12月7日に開催されたCOP21閣僚級会合の様子
環境大臣の丸川珠代氏は、日本の温暖化対策を早期に固めることを約束した。(写真:日経エコロジー)
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図2 パリ協定の骨子
図2 パリ協定の骨子
京都議定書からの主な変更点を記した。赤字は特に重要なポイント。
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 COP21は、196の国と地域が温暖化防止に努めることに合意した歴史的な会議になった。これまで温暖化防止の枠組みに参加してこなかった、温室効果ガスの大量排出国である米国と中国が加わる点は大きい。1997年のCOP3における京都議定書に代わる、18年ぶりの国際協定となる。

 産業革命前からの気温上昇を「2℃より十分に低く抑える」とともに、「1.5℃以内を目指して努力する」ことを明記した。すべての国と地域は温室効果ガスを削減する“自主目標”を作成し、国際連合に提出する義務を負う。

 ただし2℃以下とする目標は、「現実的ではない」と見る向きは多い。実際には各国・地域が“自主目標”を達成したとしても、2℃以下に抑えられない公算が強い。まして1.5℃以下の達成は「ありえない」との見方が大勢だ。

 それでも、1.5℃という新しい数値を公表したことの影響は大きい。国際エネルギー機関(IEA)が「世界エネルギー見通し(WEO)」に、「1.5℃シナリオ」を追加する可能性が高くなるからだ。世界の自動車メーカーやエネルギー関係者が、将来の技術戦略を考えるときにWEOを参考にする。

 企業戦略は、自社にとって「最も厳しいシナリオ」を想定して立てるのが基本。現状のパワートレーン構成と最もかい離が大きくなると見られる1.5℃シナリオの登場は、自動車メーカーの今後の技術戦略に影響を与える。

 特に欧州では、将来の燃費規制議論で1.5℃シナリオの影響を受ける可能性がある。かねて欧州は中東やロシアを中心に政治的に不安定な地域にエネルギー供給を依存する。石油の供給不安は大きいことから、燃費規制に力が入る状況にある。加えてCOP21の議論は、欧州各国が主導した。