マツダは直列4気筒で排気量2.2Lのディーゼルエンジンを改良し、熱効率を高めながら騒音(ノック音)を抑えた(図1)。大きく貢献したのがデンソーの最新インジェクターで、短時間に6回連続で噴ける特徴がある。採用したのはマツダが初めてだ。
2017年12月に日本で発売した7人乗りのSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「CX-8」に搭載する。
ディーゼルエンジンは、ピストンが上死点付近にあるときに速く燃やすと、熱効率を高められる。一方で、ゆっくり燃えた方がディーゼル特有のノック音を抑えられる。矛盾の解消を狙ってマツダが考えたのが、最大で6回に細かく分けて連続して速く噴くことだ。一つの燃焼を終える前に次の燃焼が始まるようにして、燃焼を連続させる。熱発生率(熱発生速度)で見ると緩やかに立ち上がる大きな1回の燃焼になり、ノック音を抑えられるという(図2)。一方で実際の噴射間隔は短いために燃焼期間は短縮できており、熱効率も高められる。

あるエンジン負荷における熱発生率についてピストンの上死点を0度としたクランク角の位置で見ていくと、約−10度のときに熱発生率が増え始めて、1~2度で最高値に達する。その後は約30度までかけて緩やかに熱発生率は小さくなっていく。熱発生率変化の“山”を従来の三つから一つに減らし、その上昇と下降を緩やかにしたことでノック音を減らせる。