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パネルディスカッション
「Ethernet of Things~イーサネットの普及に必要なモノ・コト~」

自動運転にEthernetは不可欠、光配線による1Gビット/秒超も視野

JASPARの次世代高速LANワーキンググループのメンバーが登壇。日本を代表する自動車関連企業が、車載Ethernetの魅力や課題について語った。

写真:柴仁人
写真:柴仁人
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進行役:今、車載Ethernetのどんな動き(進展)に注目していますか。

後藤英樹氏(トヨタ自動車)
後藤英樹氏(トヨタ自動車)
JASPAR 次世代高速LAN ワーキンググループ(WG)主査(写真:柴仁人)
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後藤英樹(次世代高速LAN WG 主査/トヨタ自動車):高速ネットワーク化とオープン化です。車載における画像データ伝送用のインターフェースは、まだポイント・ツー・ポイント(P2P)であって「ネットワーク」ではありません。今後、1つのデータを複数のアプリケーションで使う「ネットワーク化」の需要が高まります。そのとき、(さまざまなネットワークトポロジーを構成できる)Ethernetは適しています。

 車載Ethernetでもう1つ注目しているのが、「オープン化」です。車外との通信では、オープン化が重要だと思っています。民生機器業界やIT業界で標準のEthernetは、オープン化の観点でも有利だと思います。

 オープン化するとセキュリティーが重要になります。Ethernetはセキュリティーの観点からも機能的に充実していると考えています。

松本孝氏(日産自動車)
松本孝氏(日産自動車)
JASPAR 次世代高速LAN ワーキンググループ システムアーキチーム メンバ(写真:柴仁人)
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松本孝(同WG システムアーキチーム メンバ/日産自動車):注目しているのは、高速性です。クルマが自ら「認識して判断し、駆動する」といった中で、駆動部分には高速なデータ通信は不要です。高速なデータ速度が必要なのは、センサーやカメラから情報を得る認識側です。ここでは、3次元(3D)データを含め、今後膨大な情報を処理することになります。

 ところが、今の車載ネットワークでは速度が足りません。この点で、Ethernetの100Mビット/秒や1Gビット/秒を超えるデータ伝送速度に注目しています。

 ただし、通信速度が高まるとデータを処理するマイコンも高速化しなくてはなりません。従来の「CAN」の500kビット/秒に対しては動作周波数が20MHzのマイコンが、「CAN FD」の2Mビット/秒の通信速度に対しては80MHzのマイコンが必要です。つまり、通信速度の約40倍の動作周波数がマイコンには求められます。100Mビット/秒のEthernetになると、必要な動作周波数は4GHzになる計算です。ここまで動作周波数が高まると、熱の問題が出てくると思うので、そこが気掛かりです。

江口強(同WG システムアーキチーム メンバ/本田技術研究所):私は3点、注目しています。1点目は、松本さんと同じく速度です。今のところ、高速通信が必要なアプリケーションは、主に画像データの転送です。今後、自動運転を実現していく中で、さらに多くのECUやセンサーをつなぐ必要性が出てきた場合、トラフィックの関係でCANの信号線を何本も引くよりは、1本のEthernetで済ませた方がいい。

 安価に高速なインターフェースを実現できる可能性が高いことが、Ethernetに対する2つめの注目点です。高速性だけならば、「FlexRay」も候補になりますが、コスト面でEthernetに劣ると考えています。

 Ethernetは車載用に開発されたわけではなく、既に民生分野で活用されています。ですから、民生用と車載用で異なる部分があるにしても、「ゼロスタート」ではありません。そのため、チップベンダーの参入障壁はそれほど高くなく、コストもそれなりに安くなるのではないかと思っています。

 3点目は、電力重畳です。PoE(Power over Ethernet)のように、車載Ethernetの信号線で電力も供給できます。「MOST(Media Oriented Systems Transport)」やFlexRayにはない特徴です。

 高速化によって、信号線の本数を減らせます。ですが、高速化では、各ECUやセンサーなどにつなげる電力(電源)線を削減できない。PoEを使えば、電源線を不要にできる可能性が高く、その点に期待しています。