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ダブルスタンダードを作らない

進行役:「標準化」がコストに対して、1つのキーワードになっているようですね。JASPARでの標準化の取り組みについて聞かせてください。

後藤:JASPARでの取り組みを紹介する前に、自動車業界におけるその他の取り組みを整理したいと思います。例えば、車載Ethernetの物理層に関する標準化は、「OPEN Alliance SIG」や「IEEE」で進めており、ソフトウエアに関しては「AUTOSAR」で進めています。

 JASPARは、これらの仕様をどのように使うかを検討しています。ただし、OPEN Allianceの仕様、例えば、ハーネスの伝送路を評価した結果、一部、日本側の要求性能を満たさない部分があります。「フェール処理」といった、そもそも規定されていない部分もあります。

 ですから、我々「JASPAR次世代高速LANワーキンググループ」は、こうした「隙間」を埋めようというスタンスで取り組んでいます。ダブルスタンダードを作ろうということではなく、AUTOSARやAVnu Alliance、IEEE、OPEN Allianceといった標準化団体にJASPARの要件を出して反映させていきたい。それが、我々の取り組みです。

芹澤:標準化団体それぞれで、得意分野や不得意分野がありますので、連携を取りながら補完していきます。JASPARが主導して標準化しているものもあります。それが、車載Ethernet向けの光通信技術で、IEEEで標準化を進めています。

実現方法が競争領域

進行役:JASPARのワーキンググループでは、どこまでを非競争領域として標準化していくのでしょうか?

後藤:どこまで標準化するべきなのか、ハードウエアやソフトウエア、システム全般など、各担当で話し合いながら進めているところです。各担当からご説明いただきましょうか。

片岡幹雄氏(日立オートモティブシステムズ)
片岡幹雄氏(日立オートモティブシステムズ)
JASPAR 次世代高速LAN ワーキンググループ システムアーキチーム リーダ(写真:柴仁人)
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片岡:システム全般をまとめているのが、私のグループです。通信はすべてが非競争領域だと思います。部品は競争領域になると思いますが、ECU間の通信仕様を共通化して、各社のECUが問題なくつながるように要件化していくことが、我々のミッションだと思います。

渡辺:ソフトウエアでは、使用する「ソフトウエアモジュール」の仕様やインターフェースが非競争領域です。ここは、標準化します。処理速度を左右する部分やプログラム容量などが競争領域になるでしょう。AUTOSARの仕様をJASPARで検討した時もそうでしたが、各種ツールとの相性や整合性も、標準化の対象になると考えています。

加来:ハードウエアでは、電子部品に要求される仕様は共通です。ですが、その仕様を実現する方法は各社で工夫していくことになる。ハーネスに関しても、電気特性は決まっており、非競争領域です。その実現手段が競争領域になると思います。