UEIとソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)、米WiL社が共同で設立した新会社ギリア(GHELIA)は、「ヒトと人工知能(AI)の共生社会」を実現し、「人類を進化させる」と豪語する異色の企業である。社長はUEIの清水氏、会長はソニーCSLの北野氏。清水氏の型破りな構想を、北野氏がさらに鍛える格好だ。会社設立の経緯から将来のビジョンまで、両氏に存分に語ってもらった。

――ギリア設立につながった、そもそもの発端は。

北野 我々(ソニーCSL)の側では、平井(一夫氏)が(2012年4月に)社長になってすぐにスタートした、ネットワークサービスの新事業を作るプロジェクト(NWS@CSL)がありました。ソニー・グローバルエデュケーション(SGED)の設立などにつながったものです。そのプロジェクトで、最初のラウンドは社内オーディションから出た事業のインキュベーションをしましたが、第2回目のラウンドは社外とも組もうということになったのです。
そのころに、YouTube上に流れているよく分からない動画(2012年末から順次公開された、UEIのタブレット端末「enchantMOON」のプロモーションビデオ)を見たんです。「何だこれは」と。「タブレット作ってて、全部手書きみたいだけど、何これ」とか言って。それで、(清水氏に)メールを出したか、メッセージを送ったのです。
そのときは「今は、enchantMoonを作っている最中で忙しい」というタイミングでしたが、代官山でプロトタイプを触る会(2013年5月25日の「enchantMOONタッチ&トライイベント」)を行うというので、土曜日に僕と(ギリア 取締役副社長の)齋藤(真氏)ともう一人で、イベントが始まる前に行って、すごく早い時間に会いました。近くの目立たない喫茶店かどこかで話をして、一緒にやるとしたらどうする、というプランを相談し始めたんです。
その後、「コンピューターをどう変えるか」のようなことを、しばらく清水さんとCSL側で議論しました。ソニーCSLがあるビルの5階に、SGEDなども使っていたNWS@CSLのインキュベーションスペースがあって、そこで密かに始めたんです。