つくばエクスプレス(TX)沿線に集う大学や研究機関などから生まれた技術を基に事業を立ち上げたベンチャーを中心に支援する。そんなユニークな活動を続けているのが、TX アントレプレナーパートナーズ(TEP)である。投資家や相談役(メンター)、ベンチャーとの連携を望む大手企業などが会員として名を連ねる。TEP 代表理事の國土晋吾氏に、活動の狙いを聞いた。

──改めてTEPの設立の経緯や目的を教えてください。
まず背景には、日本に世界に通用するようなベンチャーが生まれてこないという危機感があります。日本の場合、大企業ばかりで、2、30人という規模のスタートアップやベンチャーがあったとしても、IT系が中心です。ところがこうした企業がGoogle社並みに世界で通用しているかといえば、そうとはいい難い。
一方で、ノーベル賞を何度も受賞するほど日本の科学技術力は高く、特許件数も多くて世界でもトップクラスにある。そんなような状況の中で、世界で通用するスタートアップがなぜ、誕生しないのか。その疑問が出発点です。
この疑問についていろいろ考えたり調べたりすると、日本の起業環境は独特で、世界に通用するようなベンチャーが出てくる素地がない。この問題は、ずっと指摘されてきているんですが、私の起業経験から言っても、本当にそうだった。じゃあ、足りないところを補うような活動が必要なんじゃないかということで2009年11月に誕生したのがTEPです。目標としては、日本の技術シーズを商用化して起業し、そのスタートアップ企業を世界に通用するような会社にすることです。
ただ、TEPがその目的をかなえる役割を全部担えるかというとなかなかそうではないので、最終的には、世界で通用するスタートアップが生まれるエコシステムを日本に構築したいと思って活動しています。これはTEPだけではできないので、いろいろなところと協力しながら、実現したいと考えています。