(本記事は「日経エレクトロニクス」2017年6月号の「“安川流”スマート工場に向け「AI」「IoT」で外部を取り込む」の前編です)
高速通信やセンサーなどの新技術に期待
―― ベンチャー企業の育成に向けて2018年度までに20億円を投資する方針を打ち出しました。IoTやAI、無線、センサーなどの分野を投資対象に挙げていますが、具体的に期待する技術は。

筒井 コア事業であるFA(工場自動化)関連では、高速通信や低消費電力化、センサーなどの新しい技術を持つベンチャー企業に期待しています。
例えば、FA用途で使える無線技術を手掛けるベンチャー企業は有望な投資対象でしょう。無線技術は、まだFA用途で十分に使える水準にないからです。工場内では産業機器を高速に制御する必要があるため、FAネットワークには高速・低遅延が求められます。それを考えると、現段階では有線ネットワークを使うしか選択肢がないのが実情です。
センサー技術に関心があるのは、IoT時代の事業展開に向けて安川電機が持っていないピースを短期間に埋めるためです。これからセンサーを独自開発していては時間がかかりすぎます。そこで、センサー技術を持つベンチャー企業と共同で新しい製品を開発していきたい。ベンチャー企業のセンサー技術と安川電機の製品を組み合わせることによる相乗効果を期待できます。具体的な枠組みは今後の検討によりますが、投資先のセンサー技術を基に安川電機が製品を開発し、自社で販売するような取り組みもあり得るでしょう。