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木材専門家の誇りが道を開く

 「作り手」である木を意識できるから、材料開発が順風満帆であったかと言えば、そんなことはありません。

 周囲からは、材料の性質やコストなどについて、さまざまな要求を受けました。今では多くの人がCNFに期待してくれていますが、以前はここまで話題に上がるようなことはありませんでした。

 だから、ここで逃げたらこの材料は埋もれてしまうと思い、私は開発に力を注ぎました。いろいろと要求してくる相手に対して言い返したい気持ちもありましたが、そのエネルギーはひたすら開発へと向けました。

 それに、私は彼らが期待してくれていると感じたんです。木材の分野にいる私に対して、彼らの分野のカルチャーでは解決できないことを託してくれているんじゃないか、と。

 一方で、寄せられる要求に対して、どうしていこうか、どうやって乗り越えていこうか、とイメージトレーニングもしていました。追いつめられた中で考えに考えることで、新たなアイデアが出てくるのです。

 例えば、私は植物に含まれるセルロースやリグニンについて詳しく知っていて、なおかつそれらがどのように構築されているか頭に入っています。そこにイメージトレーニングを通して解決の糸口が見えてくると、今まで難題だと考えていたことでも、案外突破できるんじゃないか、と思えてくるんです。

 あと、やはり要求を受けた以上は、やり遂げてやる、という気持ちになるんです。木材に携わる研究者として、誇りがあるからかもしれません。