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各種ディスプレーへの搭載が進むIGZO-TFTや、電気を通すセメント、鉄系超電導体など、常識を覆す新材料を開発し続ける細野秀雄氏。その独創性が評価されて2016年の「日本国際賞」*1を受賞した。「新しい発見や発明は『端っこ』や『境界』にある。(それを捉えるには)相談する相手もいない、周囲からも評価されない孤独と付き合う」ことが必要。細野氏はフロンティアを切り開く気構えをこう強調する。

*1 日本国際賞は科学技術の進歩に寄与し、人類の平和と反映に大きく貢献した科学技術者を顕彰するもので、1985年に創設された。ノーベル賞受賞前に同賞を受賞した人も少なくない。2016年は細野氏の他、米コーネル大学名誉教授のSteven D.Tanksley氏が受賞した。

写真:栗原克己
写真:栗原克己

 「ここは君のようなガラス屋が来るところじゃない」。1990年代半ば、ある半導体の国際会議に参加した時、投げつけられた言葉です。冷ややかな口調でした。

 当時はアモルファスシリコンの全盛期で、発表も大半がアモルファスシリコンに関するものでした。そのため、「酸化物(ガラス)で半導体の研究をするなんて、何を考えているんだ」と思われたのかもしれません。これには少し唖然としましたが、別に気にはなりませんでした。なぜなら、アモルファスシリコンの優れた性質を最初に見いだしたのは英国の研究者で、ガラス屋云々と言った人ではなかったからです。「アモルファスシリコンは、あなたのオリジナルではない」と思っていましたから。